2025年3月25日、経済産業省が推進する「デジタルライフライン全国総合整備計画」の一環として、世界初のドローン航路が静岡県浜松市と埼玉県秩父エリアで開通した。 この航路は、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合、トラジェクトリー、東京大学大学院工学系研究科、フジヤマ、NEC、KDDIスマートドローン、Intent Exchange、宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合(SSIL)の8者が参画するNEDOの「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」の成果として整備・運営される。
浜松市では、一級河川である天竜川上空の約180km、秩父エリアでは送電設備上空の約150kmにドローン航路が設定され、その一部区間で物流や送電設備の点検といった商用利用を開始する。同計画では、将来的には一級河川上空約1万km、送電線上空約4万kmのドローン航路を整備し、航路間の相互乗り入れにより航路網の構築を目指している。
浜松市のドローン航路
埼玉県秩父エリアのドローン航路
ドローン航路とは、ドローン運航の社会的理解が進んだ範囲で、地上や上空の制約要因に基づいて立体的に最外縁が画定された運航環境を指す。従来、ドローン運航事業者は地域関係者との調整や飛行経路のリスク評価など、個別に煩雑な手続きを行う必要があった。今回の取り組みでは、航路運営者がこれらの調整やリスク評価を集約することで、運航事業者の時間とコストを大幅に削減する効果が期待されている。
各参画企業・団体の主な役割は以下の通り。グリッドスカイウェイはドローン航路システムとビジネスのアーキテクトを担当し、システムの設計開発や秩父エリアでの商用実装を行う。トラジェクトリーは河川上空のビジネスアーキテクトとして、航路運航ルールの研究・検証や浜松市での商用実装を担当。東京大学は航路仕様・規格設計およびガイドラインの作成を取りまとめる。フジヤマは物流用ドローンの撮影画像を活用した河川点検の研究開発を行う。NECはユーザーインターフェースの設計や秩父での物流実証・GNSS評価・LTEの代替検証などを担当。KDDIスマートドローンは航路予約機能の設計開発や浜松でのマルチユース実証等を行う。Intent Exchangeは航路画定機能の設計開発や秩父での調査・測量・点検実証を担当。SSILは空間識別子の利活用支援や空域デジタルツインの構築等を行う。