衛星・HAPSを5G NTNで連携 スカパーJSATが事業化目指す「Universal NTN」とは?

スカパーJSATが実用化を目指す「Universal NTN」は、静止・非静止軌道衛星とHAPS、地上網を連携させ、最適な通信インフラを実現する。5G NTNがその鍵を握る──。

衛星通信・放送事業を手掛けるスカパーJSATは2024年11月、同社が事業化を目指すNTN(Non-Terrestrial Networks)システム「Universal NTN」の実現に向けた技術試験を開始した。

この技術試験はスカパーJSATの横浜衛星管制センター(YSCC)で行われている。

施設内に設置されたKuバンド(12/14GHz)対応の可搬型地球局(VSAT)を用い、地上約3万6000kmの静止軌道(GEO)衛星にアクセス。GEO衛星からYSCCの地球局設備に折り返し、試験装置(通信エミュレーター)をつなぐ形で実施されている。

特筆すべきは、地球局と衛星間の通信に5G無線仕様「5G NR」が用いられている点だ。

Universal NTNの実証試験で用いられている可搬型地球局

Universal NTNの実証試験で用いられている可搬型地球局

Universal NTNの実証試験で用いられている可搬型地球局(左)、試験を実施している横浜衛星管制センター。管制センターの地球局設備と可搬型地球局の間で、GEO衛星を介して通信が行われている

試験を実施している横浜衛星管制センター。管制センターの地球局設備と可搬型地球局の間で、GEO衛星を介して通信が行われている

5G NTNをGEO衛星で

高度300~1200kmを周回する低軌道(LEO)衛星や、上空20kmに長期間滞在するHAPS(高高度プラットフォーム)を活用したモバイル通信やインターネット接続を提供するサービスとして、NTNへの関心が高まっている。

スカパーJSATが推進するUniversal NTNは、GEO衛星、LEO衛星、MEO(中軌道)衛星といった非静止軌道(non-GEO)衛星、HAPSなど、異なる種類のNTNシステムを連携させ、ユーザーのニーズに適した衛星通信サービスを提供する構想だ。

図表 Universal NTNのイメージ

図表 Universal NTNのイメージ

2022年6月に仕様策定が完了した3GPP Release 17では、5G端末向けのNTNサービス仕様である「5G NTN(NR NTN)」が標準化された。以降も継続的に機能や対応バンドの拡張が行われている。今後、GEO衛星、non-GEO衛星、HAPSなどへの5G NTNの採用が進むことで、様々な軌道(オービット)のNTNシステムと地上ネットワークのシームレスな連携が可能になると期待されている。

今回の技術試験は、その実現に向けた最初のステップとして、スカパーJSATが運用するGEO衛星で5GNTNの運用を検証することを目的としている。

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