IOWN APNの光波長を「オンデマンドに即時提供」、NTTらがデジタルツインによる運用技術を確立

2023年3月に「APN IOWN 1.0」として商用サービスを開始したNTTのIOWN APN(All-Photonics Network)は、それ以降も段階的に進化し続けている。このサービスは、ユーザーに対して、通信ネットワークの全区間において専有の光波長を提供することを基本とするが、今回、その使い勝手を大きく向上させる新たな運用技術をNTT、NTTコミュニケーションズらが確立した。「光波長のオンデマンド提供」を可能とするもので、2025年4月1日より米サンフランシスコで開催される光通信の展示会「OFC 2025」で実演する。

NTTとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)、そしてIOWNの推進団体であるIOWN Global Forum(GF)らが連携して、IOWN APN(All-Photonics Network)の運用を高度化する新技術を開発した。

その技術とは、光ネットワークのデジタルツインを活用して、1Tbps級の光波長を自動設定するというもの。NTT未来ねっと研究所 フロンティアコミュニケーション研究部 グループリーダの曽根由明氏は「この運用技術は、光波長回線のオンデマンド提供に有効な技術だ」と意義を説明。「リモートプロダクションや遠隔手術支援、データセンタエクスチェンジといった、APNを活用するサービスの即時提供が可能になる」という。

NTT未来ねっと研究所 フロンティアコミュニケーション研究部 グループリーダの曽根由明氏

NTT未来ねっと研究所 フロンティアコミュニケーション研究部 グループリーダの曽根由明氏

APNの光ネットワークをデジタルツインで再現、解析、最適化

この技術の肝心な点は、IOWN GFおよび、連携する光伝送関連のオープンフォーラムであるOpen ROADM MSAやTIP(Telecom Infra Project)が規定するオープン仕様に基づく装置で構成されたマルチベンダー環境で使えることだ。

複数ベンダーの設備で構成された光ネットワーク上で光信号を計測し、「その計測に基づいて、仮想環境に光ネットワークを構成する」(曽根氏)。その仮想設備を使って、伝送路の状況や最適な伝搬パワーレベルなどを解析。実際の光ネットワークに反映することで、光波長と回線の設定を自動化することで、サービスの即時開通・提供を可能にする。

1Tbps級光波長回線の自動設定

1Tbps級光波長回線の自動設定

曽根氏によれば、こうした解析、設計、設定は、伝送速度が早くなればなるほど難易度が高くなるという。今回開発した技術では、1波長当たり1.2Tbpsという超広帯域回線で上記のような自動化を実現。「デジタルツインを使うことで、これまでは高度な知識や技術を持つ人にしか運用できなかった1Tbps回線を、誰でも正確に運用できるようになる」

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