NTTは2025年4月18日、ドローンを使用した誘雷の実証実験に成功したと発表した。
日本雷保護システム工業会(JLPA)によると、国内の落雷による年間被害額は1000~2000億円に及ぶ。落雷の発生回数も100万回/年にのぼると言われている。
この雷から人・建物等を保護するのが避雷針だが、「現在広く使用されている避雷針では、雷を受ける範囲が限定的だ」とNTT宇宙環境エネルギー研究所 レジリエント環境適応プロジェクト 主任研究員の長尾篤氏は指摘した。風力発電の風車や屋外のイベント会場など、避雷針の設置が困難なケースも少なくない。
そこでNTTは、ドローンが雷を誘発してその雷エネルギーを安全な場所へ流す「ドローン誘雷」の実用化を目指し、2024年12月~2025年1月の期間、島根県浜田市の山間部で実証を行った。
カギとなった技術は2つだ。1つは、ドローンの耐雷化技術である。ドローンに雷が直撃しても誤作動・故障しない耐雷ケージを開発し、ドローンに実装した。「雷直撃時の大電流を迂回させ、ドローン本体に雷電流が流れないようにする。また、雷電流を放射状に流すことで、大電流によって発生する強磁界をお互いに打ち消しあい、ドローンへの磁界影響を低下させている」と長尾氏は説明した。
ドローンの耐雷化技術の概要
2つめが、電界変動を利用した雷誘発技術である。ドローン-地上間を導電性のワイヤーで接続し、地上側に高耐圧スイッチを設置。電界強度が上昇すると雷が発生する可能性が高まるが、このスイッチ操作によって、ドローン周囲の電界強度を変化させる技術を開発した。