IoT向け回線の選び方 コスト、接続形態、セキュリティ…何を基準にする?

IoTを始める時に迷う要素の1つが“回線”だ。MVNOをはじめとした様々な企業がIoT向け回線を提供している。コスト、接続形態、管理画面、セキュリティなど、選定の際に注意したいポイントを解説する

映像用途などに上り強化メニューも映像配信など上りの大容量通信や高速通信がしたい場合は、上りの通信容量や速度に制限がない、あるいは大容量に特化したプランがあるかどうかも確認したい。

BIGLOBEモバイルでは、上り高速・下り低速の10GB~300GBのプランや、300GB超のカメラ向け上り大容量プランを提供している。防犯・監視カメラやデジタルサイネージ、車載カメラ、テレマティクスに使われている。

mineo法人も、上り高速コースを提供しており、さらにその中で映像配信などに向けた大容量メニューも用意している。NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のIoT Connect Mobile Type S(以下、ICM(S))でも、大容量の上りデータ通信向けの「上り特価プラン」がある。

閉域接続かインターネット接続か用途によって接続形態も変わってくる。セキュリティが担保されたパブリッククラウドが接続先の場合、あるいは送信するデータが個人情報や機密情報などに当たらず、通信コストを抑えたいといった場合ならインターネット接続を選ぶといいだろう。

インターネット接続でもセキュリティを確保できるサービスもある。NTT ComのICM(S)なら、オプションで「IoT Connect Gateway」サービスをつけることで、本来デバイス側で行うクラウドに合わせたプロトコル変換や暗号化処理、認証や鍵交換などを代行してくれる。「高機能なデバイスを用意する必要がないので、例えば見守り端末などエンドユーザーに提供するデバイスの価格を抑えたい場合などにも利用していただける」とプラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部 GTM部門 第三グループ 主査の山本陽一氏は話す。

セキュリティを担保したい、外部に出てはならないデータを扱うなら閉域接続を選ぶ必要がある。中には閉域接続でしか提供されないオプションや機能も存在する。例えばmineo法人は下りトラフィックの一部を帯域確保できるメニューも用意している。

図表2 「mineo法人」における閉域接続のイメージ

図表2 「mineo法人」における閉域接続のイメージ

複数キャリアから選べる利点SIMが何キャリアから選べるかも気をつけるべきポイントだ。SIMがある位置が動かないのであれば1キャリアでいいかもしれないが、様々な立地にある店舗に置かれる決済端末や、移動するバス・タクシーからデータを送信するのであれば、なるべく多くのキャリアが選べる方がいい。その場所ごとに最も電波が入りやすいキャリアを選べるからだ。さらに複数キャリアに対応していれば、2キャリアで冗長構成にして通信の安定性を確保するという使い方もできる。

MEEQの閉域接続は3キャリアに対応しており、しかも1つの閉域網に3キャリアを同時に収容できる。

また、MNOのSIMと、海外でデータ通信可能な国際ローミングSIMとの違いも意識しておいた方がいい。ローミングSIMは格安だが、国内で使う際には事業者を何社か挟む分、障害が起きうるポイントが増えるうえ、不具合発生時には海外の事業者とやりとりする可能性もある。また、通信が海外を経由する場合が多いため遅延も増える。コストが抑えられるというメリットはあるが、そうした要素と天秤にかけて検討したい。

月刊テレコミュニケーション2022年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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