IoT向け回線の選び方 コスト、接続形態、セキュリティ…何を基準にする?

IoTを始める時に迷う要素の1つが“回線”だ。MVNOをはじめとした様々な企業がIoT向け回線を提供している。コスト、接続形態、管理画面、セキュリティなど、選定の際に注意したいポイントを解説する

回線管理は、窓口or管理画面から自社で使うにしても、自社製品・サービスに組み込むにしても、回線をどのように管理できるかも重要なポイントだ。

シンプルに回線のみ提供し、不具合があれば窓口に問い合わせる形式のサービスもあれば、標準機能として管理画面を提供するサービスもある。

窓口問い合わせの場合、対応時間やレスポンスの速さなどはサービスによって異なる。問い合わせたもののなかなか返信がなく、解決まで時間がかかるというケースも想定しておこう。

管理画面から何を確認・変更できるかもサービスによって異なる。例えばMEEQの管理コンソールでは、SIMの通信量や稼働状況の確認、SIMの新規発注やアクティベーション、プラン変更、グローバル固定IPアドレスなどのオプション付与、データチャージや利用停止/再開、回線名称の変更やSIMのグループ化・管理など、回線管理の標準的な機能を一通り揃えている。

MEEQのコンソール画面

MEEQのコンソール画面。通信量の確認やプラン変更、SIM の新規発注、データチャージ、利用停止/再開などができる(画像クリックで拡大) 出典:SNCスマートプラットフォーム

mineo法人では「企業管理ページ」という名で標準提供されている。通信量の確認や容量変更など基本的な機能はもちろん、ユーザーの要望に応えて実装されたユニークな機能がいくつかある。mineoはインターネット接続なら3キャリア、閉域接続なら2キャリアからSIMが選べるが、キャリアに関係なく余ったパケットを翌月に繰り越したりシェアできる機能を用意。SIMの盗難・紛失時に即座に利用停止する機能もある。

「コールセンターに電話をかけていただくというよりは、お客様側である程度一気通貫してできるような機能を提供・追加している」とオプテージ ソリューション事業推進本部 パートナー営業部 法人パートナー営業チーム チームマネージャーの中植昌樹氏は説明する。

図表3 主なIoT向け回線サービス

会社名 サービス名 特徴 URL
NTTコミュニケーションズ IoT Connect
Mobile Type S
世界196の国と地域で利用可能。インターネット接続はもちろん、インターネット接続でもIoTクラウドサービスへ安全な接続ができるオプションや、閉域網接続など様々な接続形態が選べる。 https://www.ntt.com/business/services/
data-utilization/dxplatform/sdpf/icms.html

オプテージ mineo法人 インターネット接続ならドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから、閉域接続ならドコモとau の2キャリアから選べる。キャリアに関係なくパケット繰り越し・パケットシェアが可能。管理画面の「企業管理ページ」では、SIM 管理の基本的な機能のほか、SIMの緊急停止や在庫扱いなど様々な機能が利用できる。 https://mineo.jp/business/
ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム MEEQ LTE やELTERESが利用可能。3キャリア対応で、1つの閉域網に3キャリアのSIM を同時に収容できる。少数利用ならWEB のみで1枚から利用開始できる。直感的で使いやすいコンソールも標準機能として提供する。 https://www.sonynetworksmartplatform.co.jp/
meeq/
IIJ IIJmio IoTサービス NTTドコモの3G/LTE に対応。やり取りするデータ量が少ないIoT 用途向けの年額プラン「いちねんプラン」と、上り通信をメインで使う用途向けの「上り高速プラン」を用意している。製品に合わせて標準SIM・マイクロSIM・nanoSIM から選択できる。 https://www.iijmio.jp/mit/
BIGLOBE BIGLOBEモバイル ドコモのエリアで使えるタイプD(ドコモ回線)とau 4G LTEのエリアで使えるタイプA(au 回線)の2 種類を提供する。100MBから大容量まで、14 種類の料金プランに加え、特定の時期しかデータ通信を行わないユーザー向けに維持費を抑えられる0 ギガプランも用意している。 https://biz.biglobe.ne.jp/sim/iot-m2m.html
ソラコム SORACOM IoT通信プラットフォーム。月額45円~の少量データプランから、10G/50Gの大容量アップロードプランまで多様な通信プランを提供している。3G/LTE はもちろん、LoRaWAN、Sigfoxも利用できる。WebコンソールやAPIから、各通信回線の発注・運用・監視・停止・解約などが管理可能。 https://soracom.jp/
さくらインターネット さくらの
セキュアモバイル
コネクト
閉域型ネットワークを提供するIoT向けプラットフォーム。SIMからさくらのネットワークまで、インターネットを経由せず閉域網で接続可能。1容量によるネットワーク通信速度制限を設けていない。1枚のSIMで国内3つのMNOのエリア・バンドに対応している。Web 画面・APIでSIM管理できる。 https://iot.sakura.ad.jp/sim/


連携機能が充実したサービスもIoTで集めたデータを使ってさらにやりたいことがある、あるいは今後の拡張予定が決まっているのであれば、連携可能なサービスや機能も検討材料の1つとなるだろう。

MEEQでは、IoTデバイスからデータを収集して保存するストレージから提供している。IoTデバイスから指定のURLにデータをアップロードすれば、IoTストレージ(AWS DynamoDBとS3)にユーザーが指定した形式で、自動でデータを格納していく。ユーザーがAWSのアカウントを持っていればそのアカウントにRead、Writeの権限を付与し、ない場合でもAPIでアクセス可能だ。

「お客様はIoTのシステムを作りたいわけではないだろうというのが我々の考え。MEEQのサービスだけ使っていただければ、お客様側でシステムを作らなくてもやりたいことができる、ということをコンセプトとして設計している」とSNCスマートプラットフォーム 執行役員 CTOの小早川知昭氏は語る。

今後、ソニーグループの力を活かし、機能を拡張していく予定もある。「ソニーのAIの技術やサービスを統合する取り組みを進めている。データを溜めていただければ、AIでの解析や次のステップの処理も簡単にできるような仕組みもリリースしていく方針だ」(同氏)

NTT ComのICM(S)は「AWSはもちろん、Microsoft AzureやGoogle Cloud Platformと専用線やデータセンターを挟むことなくダイレクトコネクトでき、接続性が高い」とデータプラットフォームサービス部 GTM部門の高野千夏氏は説明する。さらに同社のクラウドサービスThings Cloudやローカル5G、エッジコンピューティング、プラットフォームサービスとも連携可能だ。

月刊テレコミュニケーション2022年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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