アメリカのシカゴとスウェーデンのストックホルム、この2つの都市は約7000㎞離れている。さてここで問題だ。ストックホルムの街で木が倒れたとき、シカゴにいながらストックホルムでの5G障害を検知することはできるだろうか。
答えはYES。ただし現実世界ではなく仮想空間でなら――。
エリクソンとNVIDIAは2021年11月、NVIDIAの年次イベント「GTC2021」において、両社がいわゆる「メタバース」を活用して仮想空間に都市のデジタルツインを構築し、電波伝搬のシミュレーションの高度化に向けて取り組んでいると発表した。
メタバースは超越という意味の「メタ」と、ユニバース(世界)の「バース」を結びつけた造語。明確な定義は定まっていないが、「オンライン上でARやVR技術で構築した仮想空間で様々なコラボレーション、コミュニケーションを行う仕組みがあるものを指すことが多い」とNVIDIA エンタープライズ事業本部 プロフェッショナル ビジュアライゼーション ビジネスデベロップメントマネージャー 高橋想氏は解説する。
NVIDIA エンタープライズ事業本部 プロフェッショナル ビジュアライゼーション
ビジネスデベロップメント マネージャー 高橋想氏
メタバースについてはFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変更するなど、その将来性に期待が集まっている。ネットワークにおいても5Gの高度化にメタバースが活用される動きが起き始めた。