富士通のローカル5Gとドコモの5Gを相互接続 データ連携で製造業全体を最適化

生産現場の最適化を目的にローカル5G導入が進んでいる。しかし、製造業全体の課題解決には全工程の最適化が不可欠だ。富士通とドコモはプロセスを超えたデータ連携による全体最適化に取り組んでいる。

企業や自治体が自らの建物や敷地内にスポット的にエリアを構築できるローカル5Gは、様々な産業における課題解決に役立つことが見込まれている。

なかでもローカル5Gに対する期待が高く、検討が進んでいる産業の1つが製造業だ。

「サービス開始以来、製造業のお客様からの問い合わせが最も多い。2020年12月のSub6帯の制度化以降、その傾向に拍車がかかっており、現在は問い合わせ全体の45%を占めている」。こう話すのは、富士通 5G Vertical Service室 エグゼクティブディレクターの神田隆史氏だ。

富士通 5G Vertical Service室 エグゼクティブディレクター 神田隆史氏

グローバル化の進展に伴い競争環境が激化する一方、労働力人口の減少により人手不足が深刻化し、厳しい品質要求基準に応えることが難しくなっていることが背景にはある。その打開策として、自社工場でのローカル5G活用を検討する企業が少なくない。

富士通も企業のローカル5G導入を支援するかたわら、製造業という立場から、自社の小山工場(栃木県)にローカル5Gを導入している。

小山工場では屋内・屋外にSub6およびミリ波を用いてローカル5G環境を構築。AGV(無人搬送車)の位置制御による運搬作業の自動化、部品倉庫のルート最適化のほか、働き方改革に活用している。

一例が組立教育・訓練だ。工場内のエッジコンピューティング環境で製品の3Dモデルを作成し、作業者が装着したMRグラスにその3Dモデルと作業指示を投影しながら、熟練者や開発者が遠隔から指導・支援を行う。「生産現場では多種少量生産が進んでいるため、いかに短い時間で習熟度を上げるかが課題。ローカル5GとMRにより、現物の完成前にトレーニングを実施することができる」(神田氏)。

また、複数の高精細カメラで撮影した組立作業の映像から作業者の手の動きを追跡し、手順通りに作業を行っているかどうかをAIが判定。その結果をディスプレイや音声で作業者へリアルタイムにフィードバックすることで、作業の効率化や品質の向上を図っている。

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