ローカル5Gで重要となるE2Eの体感品質テストでは、KEYSIGHT 5G/ローカル5G SUMMIT 2021の内容を見ていこう。
冒頭を飾るのは、ローカル5Gをテーマにした「キーサイト・5Gソリューション概要とローカル5Gエリアテストの最前線」(7月7日9:30~10:45)だ。
ローカル5Gは、5Gを自営無線として利用できる新しい無線局免許制度。2019年末にまず28GHz帯(ミリ波)での免許申請受付が開始された。さらに2020年末からミリ波より電波が遠くに届きやすい4.6GHz帯(Sub6)での免許取得が可能になったことで普及が加速してきた。
公衆5Gでは移動通信事業者が担っているサービス品質の確保を、ローカル5Gでは導入企業、もしくは構築・運用を担うSIer/NIerなどが自ら行う必要がある。その具体的な手立ての1つに、基地局の電波が実際にどのように届いているかを検証するエリアテストがある。
エリアテストは、対象となるエリア内の様々な場所に電波がどの程度の強さ(受信電力)で届いているかをスキャナーで測定し、その結果をヒートマップとして可視化する形で行われるのが一般的だ。
ローカル5Gでは、これに加えてアプリケーションに応じたユーザーエクスペリエンス(体感品質)評価が重要になる。スマートフォンでコンテンツを十分に楽しめるかを評価するには、ユーザーが実際に利用している環境でどの程度のスループットが得られるかを把握する必要がある。同様に無線で工場の工作機械の制御を行うには、スループットや遅延などの要件をエンド・ツー・エンドでクリアしなければならない。
この「キーサイト・5Gソリューション概要とローカル5Gエリアテストの最前線」のセッションでは、キーサイトのハンドヘルド計測ツール「Nemo Handy」やエリア測定用ソフトウェア「Nemo Outdoor」などを用いたエリアテスト、エンド・ツー・エンドでのユーザーエクスペリエンス評価の手法などが紹介される。
ローカル5Gのユーザーエクスペリエンス評価に用いられるハンドヘルド測定ツール「Nemo Handy」。スマートフォンにアプリを導入しチップセット(SoC)から詳細な情報を取得する
もう1つ、ローカル5Gに関心のある方へお勧めのセッションとして、「フロントホールからセキュリティまで対応!キーサイトO-RAN試験ソリューション」(7月7日14 :45~15:45)がある。
5G時代のオープンな無線アクセスネットワーク規格として標準化されているO-RANでは、5Gの基地局設備(gNB)を無線ユニット(O-RU)、分散ユニット(O-DU)、集中ユニット(O-CU)の3つのコンポーネントに分けて定義している。
これらのコンポーネントをマルチベンダーで調達することで、高性能なRANをリーズナブルに構築できるようになると期待されているのだ。他方、こうしたマルチベンダー環境では、異なるベンダーの製品を組み合わせて十分なパフォーマンスが実際に発揮されるかを、導入側で検証する必要が生じる。
O-RANの相互接続性に関する知見は、ローカル5Gの構築を担うSIer/NIerにとって不可欠になるといえよう。
この「フロントホールからセキュリティまで対応!キーサイトO-RAN試験ソリューション」のセッションでは、相互接続試験の手法や具体的なソリューションが紹介される。
O-RAN標準に基づくgNB(5G基地局)の構成。基地局機能が分割され、O-RU、O-DU、O-CUをマルチベンダーで調達することが可能になっており、これらの相互運用性の確保が課題となる
KEYSIGHT 5G/ローカル5G SUMMIT 2021では、専門的な測定技術だけでなく、旬の5G技術トレンドも広く紹介される。
その1つ、「2021年最新版:車載機器向け5GおよびC-V2X動向と評価手法」(7月7日16:00~17:00)では、高度な自動運転を実現するための無線インターフェースの1つとして実装の検討が進められているC-V2Xの最新動向が解説される。
「ダイナミックスペクトラムシェアリング(DSS)の概要とその検証方法」(7月8日13:30~14:30)は、4Gで使用されている周波数帯に5G NRを共存させることで、4Gから5Gへの円滑な移行を実現するDSS技術を詳しく学ぶ格好の機会になる。
こうした最新の技術トレンドは、ローカル5Gに取り組む企業のビジネスにも、多くの示唆を与えてくれるはずだ。
参加申し込みはこちらから
https://event.on24.com/wcc/r/3197438/65D5CC47741A6B5E48B1795CF4D846CF/2446320?partnerref=ASC-200552