<特集>キャリアネットワークの新世界へ楽天、完全仮想化の裏側 RCPの潜在顧客は60キャリア以上

「CAPEX・OPEX30%削減」という成果も出始めた楽天モバイルの完全仮想化ネットワーク。この世界初の試みを支援したアクセンチュアが明かした、完全仮想化戦略の裏側と今後の展開とは?

「第4のキャリア」として携帯電話市場に参入した楽天モバイルは、数々の大胆な策で世間の注目を集めてきたが、その1つに完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークがある。

従来、モバイルネットワークの構築に用いられてきた専用機器を汎用サーバーとソフトウェアに置き換えるネットワーク仮想化(NFV)は、すでにNTTドコモなどがコアネットワークに導入している。これに対し、楽天モバイルは、コアネットワークだけでなくRAN(無線アクセスネットワーク)なども含めたすべてのネットワーク設備を仮想化している点が大きく先を行く(図表1)。

図表1 楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークの全体像

図表1 楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークの全体像

この世界初の完全仮想化という取り組みについて、ビジネスモデルの策定から開発・運用までを多角的に支援したのが、大手コンサルティング会社のアクセンチュアだ。

「当初は業務・プロセス設計のコンサルティングが主な仕事だったが、作業を進めるうちに関係が進化し、プラットフォームの開発・設計、さらにはサービスエクスペリエンスセンター(SXC)の構築・運用などにサポート範囲が広がっていった」。アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部 マネジング・ディレクターのトゥンチゥ・ヨルマズ氏は、こう振り返る。

楽天モバイルには携帯電話事業を始めるにあたり、従来型ネットワークと完全仮想化ネットワークという2つの選択肢があった。あえて前例のない完全仮想化を選んだのは、「競合がひしめき合う業界に後から参入する以上、競争力のある料金プランを提供すべく、そのためには事業構造そのものを変える必要があったから」とアクセンチュア ビジネスコンサルティング本部 テクノロジーストラテジー&アドバイザリーグループ テクノロジーアドバイザリー プラクティスプリンシパル・ディレクターの熊谷太一郎氏は説明する。

月刊テレコミュニケーション2021年3月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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