SINETが東京-大阪間で400Gbps回線を実用化、実験では米国に416.3Gbpsで転送

国内の全都道府県、欧州、北米、アジア拠点を繋ぐ学術ネットワークの「SINET」が大幅な回線高速化を東京―大阪間で実現した。これにより、遠隔のスーパーコンピューターや8K映像など、大容量データを用いた研究がさらに活発化する。高速化の秘訣は物理層の刷新と、NIIが開発した高速ファイル転送プロトコル「MMCFTP」だ。

国立情報学研究所(NII)は2019年12月6日、学術情報ネットワーク「SINET5」の東京-大阪間に、世界最高水準の長距離400Gbps回線を構築したと発表した。ファイバーの距離はおよそ600km。また、東京と米デンバー間での高速データ転送の実装実験では、ピーク転送速度416.3Gbpsを記録した。

NII 副所長の漆谷重雄氏は「400Gbpsの回線はイギリスの学術ネットワーク『Janet』で約200kmの実績があるが、600kmという長距離はSINETが初。間違いなく世界最高水準のネットワークだ」と胸を張った。12月9日よりサービス提供を開始する。

NII 副所長の漆谷重雄氏
学術NWのSINETとは?SINETはNIIが構築・運用している、海外および国内の学術拠点などを結ぶ通信ネットワーク。現在は第5世代であるSINET5を指す。国立大学や研究機関をはじめ、国内に50か所設置してあるノード(DC)が100Gbpsの光ケーブルで直接繋がっている。そこまでのアクセス回線は自前で用意し、一部のスパコンなどは100Gbpsのファイバーケーブルで繋がっている。現在は国内923の団体が利用している。

ネットワークはVPN化もされており、全国から高速回線を安全に利用できる環境だ。これにより地方の研究者も遠隔のスパコンで処理したデータを研究に活用できるなど、日本の研究・教育に欠かせないものとなっている。

SINET5の現状
国際連携も進んでおり、アメリカやフランスなどの拠点とも100Gbpsで接続している
また「最近ではクラウドの活用がかなり増えている」と漆谷氏。AWSやマイクロソフト、NTTグループなどのクラウドデータセンターと直結しており、これらの基盤で構築されたシステムも高速回線で利用可能だ。「オープンサイエンスの基盤としてもSINET5は期待されている」と漆谷氏は強調した。

SINETが接続しているクラウド事業者のデータセンター

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