ITホールディングスグループ(以下、ITHDグループ)のTISとインテックは2010年9月29日、Web・電話連動型顧客接点強化ソリューション 「Callクレヨン」を12月から共同提供すると発表した。ITHDグループは今年7月に「クラウドテレフォニー」事業の展開を発表しているが、Call クレヨンはその第2弾のサービスとなるもの。第1弾のサービスであるSaaS型着信管理サービス「Callノート」は8月2日より提供が始まっている。
Callクレヨンは、Webサイト経由でコールセンターに電話をかけてきた顧客の現在状況を“見える化”するためのクラウドサービスだ。見ていたWebページのURLや買い物かごに入れた商品のIDなどの情報を、コンタクトセンターなど企業側で把握することができる。
その仕組みは、次のようなものだ。Webページに設置した「電話で問い合わせるボタン」をユーザーがクリックすると、Callクレヨン側でユーザーごとに ユニークな専用電話番号を払い出し、Webページ上に表示。この電話番号と参照中のURL、参照中の商品ID、検索条件、カートに入れた商品IDなどの情報を紐付けてコールセンターなどに渡し、電話をかけてきた相手の状況などを見える化する。ITHDグループでは、この仕組みの実現技術を 「PhoneCookie」と呼んでおり、現在、特許出願中だという。
PhoneCookieの概要 |
会見では、Callクレヨンの利用シーンとして以下の3つの例が紹介された。まずはコールセンターにおける顧客サービス向上に活用する例である。Callク レヨンを利用すると、顧客がどういう状態で電話をかけたきたが分かる。例えば、Webサイトで保険商品の申し込み作業を進めていたユーザーが途中で分から なくなり電話をかけてきたケースでは、顧客に説明してもらわなくても、前述の仕組みにより状況の把握が可能。オペレーターは、ユーザーと同じ画面を再現しながら対応することができる。
また、ECサイトの場合、そのユーザーのカートやウィッシュリストに入っている商品や検索条件などを把握できることから、「プラスαの提案ができるようになる」(TISの岡部耕一郎氏)という。
Callクレヨンの利用例1:コールセンターにおける顧客サービス向上 |
2番目の利用例は、Webサイトの改善への活用だ。電話した直前に参照していたURLや商品などの情報によるタグ付けをすることで、Webサイトの導線改善など、さまざまなサービス改善に活用できるという。
Callクレヨンの利用例2:PhoneCookieのサービス改善への活用 |
3番目は、Web閲覧、電話、来店などのリアル行動の3つのアクションの関連性の見える化だ。
Callクレヨンの利用例3:Web・電話・来店の紐付け |
Callクレヨンで特に高い効果が得られるのは、インテックの野崎均氏によれば、「複雑な商品や高額な商品を扱っているECサイトや、顧客へのホスピタリティを向上させたい企業」だという。そして、その具体例として、金融商品や旅行関連のECサイトを挙げた。
Callクレヨンが可能にすること |
Callクレヨンの料金例は、月1万通話が発生するWebサイトの場合で月額約100万円。これにはSI費用は含まれないが、Webサイトやコールセンター側との連携に必要な作業は「マッシュアップのレベル」(インテックの野崎氏)のため、「数人月」程度で済むという。
(左から)ITホールディングス 事業推進本部事業企画部 部長 黛文彦氏、TIS 産業事業統括本部 サービス&コミュニケーション事業部 クラウドテレフォニー推進室 エキスパート 岡部耕一郎氏、インテック ネットワーク&アウトソーシング事業本部 N&Oプロダクト部 部長 野崎均氏 |
<お詫びと訂正>
当初、「Callノートで特に高い効果が得られるのは、インテックの野崎均氏によれば、「複雑な商品や高額な商品を扱っているECサイトや、顧客へのホスピタリティを向上させたい企業」だという。」と記述していましたが、正しくは「Callクレヨンで特に高い効果が得られるのは、インテックの野崎均氏によれば、「複雑な商品や高額な商品を扱っているECサイトや、顧客へのホスピタリティを向上させたい企業」だという。」です(本文は修正済みです)。読者並びに関係者の方々に深くお詫びするとともに、訂正いたします。