NTT東日本と三菱電機、CC-Link協会の三社は2025年10月8日、CC-Link IE TSNを実装した産業用機器同士を擬似的に構築された遠距離地点に配置し、IOWNオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)を通じて、最大1600km離れた場所でリアルタイムに監視・制御する実証に成功したと発表した。
CC-Link IE TSNは、産業界でいち早くTime-Sensitive Networking技術を採用したオープンネットワークだ。
本実証では、NTTe-City Labo内の「IOWN Lab」(東京都調布市)に、CC-Link IE TSNのマネージャ局を搭載した産業用機器(三菱電機製シーケンサ)を設置し、約20km離れたeXeFIELD AKIBA(東京都千代田区)にローカル局を搭載した産業用機器(三菱電機製シーケンサ)やリモート局に当たる産業用機器(三菱電機製リモートI/O※9)を設置。これらの拠点間をAPNの実回線を用いて接続した。
その結果、実測した遅延性能とゆらぎの性能がCC-Link IE TSNの仕様を十分に満たしており、正常に通信できることが確認できた。
本実証のシステム構成
さらに、APN対応の終端装置であるOTN Anywhereの遅延調整機能を用いて、擬似的に最大1600km(青森~下関間のAPNの距離に相当)の回線遅延を付加することで、遠隔地間においてAPNで接続した場合においても、CC-Link IE TSNによってリアルタイムで通信可能なことを確認した(上図表)。CC-Link IE TSNの安全通信機能によって、遠隔地間でも機能安全を確保できる可能性があることも確認できたという。
なお、CC-Link IE TSNには性能に応じClass AとClass Bという2つの仕様があるが、今回はより高性能なClass B(同期精度1μs以下で機器同士が時刻同期通信を行う)を実証に使い、通信ノード間の同期精度が1μs以下であることを確認している。