“VMware問題”の最適解は? 第三者保守を利用し移行の判断を先延ばし

脱VMwareか、継続か?──。買収から約2年、VMware製品の大幅な値上げへの対応に苦慮する企業は少なくない。リミニストリートは、決断の“先延ばし”を可能にする第三者保守サービスを提供している。

VMwareがブロードコムに2023年11月に買収され、もうじき2年が経つ。ブロードコムによるライセンス体系の刷新は、日本企業のインフラ戦略に大きな波紋を広げた。

これまで買い切り型で運用していたVMware製品の永久ライセンスが廃止され、サブスクリプション契約への移行が強制的に求められるようになった。保守コストが数十倍に膨れ上がるケースも出ており、特に通信・金融業界を中心に、対応に苦慮する声が相次いでいる。

ユーザー企業には、クラウド移行や他社製品への乗り換えといった選択肢があるが、いずれの手段にも一長一短があり、決断を先送りにしている企業はいまだ多い。そうした企業にとって検討に値するのが、第三者保守サービスを利用し、VMwareを使い続けながら時間をかけて“次”を見極めるというアプローチだ。

5年間の保守期間に“次”を判断

リミニストリートはVMwareの第三者保守サービスを提供する企業の1つだ。

同社は2005年に米国ネバダ州で創業。SAP ERPやオラクルのデータベース、セールスフォースなどの基幹業務システムに対し、ソフトウェアベンダーに代わって不具合対応やセキュリティ対策などを含む保守サポートを行っている。現在160カ国以上でビジネスを展開しており、日本法人の設立は2014年だ。ガートナーの調査によれば、ソフトウェアの第三者保守サービス市場において、同社の世界シェアは86%超を占める。2024年のグローバル売上高は4億2880万ドルに達した。

第三者保守サービスの主なメリットとしてまず挙げられるのが、コスト削減だ。ソフトウェアの種類や契約内容にもよるが、ベンダー保守と比較して半額程度になることもあるという。また、ベンダーによるサポートが終了した後も、セキュリティパッチ相当の保護や障害対応が継続して受けられる点も企業にとっては大きい。そして、VMwareのように契約条件が大きく変更された場合に、現行環境を維持しながら移行策を検討するための時間的猶予が得られることが注目を集めている。

リミニストリートの日本法人で代表取締役社長を務める脇阪順雄氏は「ブロードコムは最大で30倍もの保守料金の引き上げを顧客に提示した。それは企業の決裁権限を大きく超える水準だった」と語る。

日本リミニストリート 代表取締役社長 脇阪順雄氏

日本リミニストリート 代表取締役社長 脇阪順雄氏

こうした状況を受け、同社は2024年に保守サービスの対象をVMware製品に広げた。企業が仮想化基盤の運用方針の意思決定や、別製品への移行に必要な時間を確保できるよう、最長5年間の第三者保守を提供している。

「保守期間中にVMwareを継続利用する価値があると判断すれば、ブロードコムに支払えばいい。他のハイパーバイザーやクラウドネイティブなアプリケーションに移行しても構わない」と、脇阪氏はユーザー企業の主体的な判断を支援するという立場を強調する。

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