ベテランの知識を水平展開この“自律診断”には、機器周辺の温度・湿度や振動といったセンサー情報も収集して利用する。機器単体の異常振動がサービスの品質に及ぼす影響の判定や、温湿度変化も適宜分析対象とすることで、原因分析の確度を高められる可能性があるという。
こうした取り組みによって、「今は属人化しがちなネットワーク運用の知識やスキルを水平展開できるようにしたい」と長津氏は話す。わずかなパラメータの変化から将来起こり得る障害を察知し、適切に調査・対処を行えるオペレーターの技能をAIに学ばせて蓄積し、より広い範囲で活用できるようにする。加えて、「知識や経験を結びつけて、より効率的に異常に対処できるようになる可能性もある」と展望する。
当面は、AIが導き出した結果をオペレーターに伝えることで、運用を効率化・高度化することを目指しているが、将来的にはSDNコントローラーと連動して、故障の影響を抑えるためのネットワーク制御までを自律的に行うことも視野に入れている。実用化の目標は「2020年ごろ」。データセンターネットワークのような限定された領域から使い始め、徐々に適用範囲を広げていくことを考えているという。