企業ネットワークが目指すべき「3つの方向性」
池田氏は、安易にアウトソース化するのではなく、キャンパスネットワークについても、運用を自動化できる新しい仕組みへと再構築すべきだと主張する。これからの企業には、社内ネットワークとインターネットを縦横無尽に行き交うデータをうまく扱えるようなネットワーキングが求められるためだ。それには「柔軟で、迅速で、多様性に適用できる新しいネットワークを目指す」必要があり、運用自動化はその必須の要件となる。
では、ネットワークの再構築にあたって企業が目指すべき方向性とはどのようなものか。同氏が「基本方針」として挙げたのが次の3つだ。
これからの企業ネットワークが目指すべき方向
1つめは「接続先を迅速かつ柔軟に変えられるロジカルなネットワーキング」を実現すること。企業はこれまで、「内」であるイントラネットと「外」であるインターネットを隔てる壁を作り、内と外を明確に分けるかたちで企業ネットワークを構築・運用してきたが、この考え方自体を変えて、「MPLSとインターネットを目的に応じてうまく使いこなせるような柔軟なネットワークを目指していく」ことがまず必要になるという。
池田氏は、これを実現するに当たって「いま一番よい動きをしているのがSD-WAN」だと指摘した。例えば、パブリッククラウドの利用増への備えとして、インターネットに抜けるトラフィックを早めにブレイクアウトさせてWAN帯域が逼迫することを防ぐといった使い方が可能だ。加えて、SD-WANにはアプリケーションごとにアクセス経路を振り分けたり、セキュリティも含めた運用を省力化・自動化する機能も備わっている。
SD-WANは米国で数年前から普及し始めており、主にWANのコスト削減のための手段として注目が集まっている。だが、池田氏は「コストダウンのためのテクノロジーとしてではなく、柔軟でロジカルなネットワークを作るためのものとして付き合っていくべき」だと話す。
なお、SD-WANは新しいテクノロジーであり「成熟度は高くない」とも指摘した。多様なベンダーがSD-WANを提供しているが、機能や信頼性などを見極めたうえで慎重に検討しながら「ユーザーとベンダーが一緒になって、しっかりと育てていくべきテクノロジーだ」と述べている。