――アルバネットワークスの統合は、HPEにとってどのような意味を持つのでしょうか。
ミトラ ネットワーク市場に、ワイヤレスだけで戦っているベンダーは最早いません。メラキはシスコシステムズに、ラッカスワイヤレスもブロケードに買収あるいは合併されました。
なぜ、こうした状況になっているのかといえば、有線と無線のテクノロジーが異なっていては、シームレスな体験が実現できないからです。ユーザーは有線でも無線でも同じ体験を望んでおり、ベンダーは1つの会社に統合してイノベーションを進めていく必要があるのです。
したがって、HPEにとってアルバネットワークスの統合は次の3つの意味で非常に重要なのです。1つは、有線と無線を統合したモビリティ性の高いインフラを実現すること。そして、その統合インフラを推進していくなかで、市場におけるリーダーシップを獲得することが2つ目です。
3つ目は、ユーザー体験をより良いものにすることです。Skype for Businessなどのユニファイドコミュニケーションが活発に利用されるようになってきていますが、より快適なアプリケーションの配信環境を実現するには、有線と無線の統合は不可欠です。
2015年11月より、アジア太平洋地域のHewlett Packard Enterprise Aruba製品管理ゼネラル・マネージャーを務めるアーモル・ミトラ氏(Amol Mitra)。Hewlett PackardのNetworking事業に22年間携わり、現在は、HPE Arubaのデータセンター、キャンパス・スイッチング(有線/無線)、中小企業向け製品に関する戦略および市場開拓を統括する |
3つの市場領域向けに再ブランド――2016年に入ってHPEとアルバの技術を合わせた新製品もリリースされてきています。今後どのような戦略を進めていくのですか。
ミトラ 市場を(1)データセンター、(2)キャンパス/エンタープライズ、(3)SMB(中堅中小企業)に分けて、それぞれ異なる戦略を進めようとしています。分野ごとに製品構成も見直し、再ブランディングしました。
データセンターは元々HPEが強みを持つ分野であり、その顧客エンゲージメント力が活用できます。サーバー/ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、サービスまで含めてパッケージ化することで、データセンターインフラをシンプルに運用できるようにします。これはHPEブランドで提供します。
キャンパス/エンタープライズの分野については、有線・無線ともにArubaのブランドに統一しました。有線ネットワークも無線部分も統合的に運用管理できるソリューションを提供し、HPEおよびアルバのチャネルパートナー経由で販売します。
3つ目のSMBは「HPE Office Connect(オフィスコネクト)」のブランドで、ディストリビュータおよびSMB向けのパートナー経由で展開します。
――Office Connectとは、日本では聞き慣れないブランドです。
ミトラ HPが2010年に買収した3ComのSMB向けのサブブランドで、海外では広く普及しており、これを再度活性化していきます。
Office Connect製品は量販店やオンラインセールスで低価格で入手できる製品として展開し、一方、Arubaはプレミアムなブランドとして位置づけたいと考えています。