KDDI研究所のブースでは、「5G無線通信時代に向けたD2D通信を活用した安定・高速通信」という研究開発が紹介されている。
「5G無線通信時代に向けたD2D通信を活用した安定・高速通信」の概要
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D2Dとは、Device to Deviceの略。基地局-デバイス間ではなく、デバイス同士の通信を意味するが、例えばこんなシーンで役立つという。交通機関の乱れで、普段はそれほど乗降者が多くない駅が急に混雑。携帯キャリアは普段のトラフィックに合わせて基地局を整備しているので、ネットワークにつながりにく状況が発生した。
こんなとき、近くにあるWi-Fiスポットや大容量の基地局などの「スポットエリア」との間を、端末同士がD2D通信でバケツリレーのように中継。さらに、通常の「広域エリア」の通信も併用することで、快適な通信を実現できる。
「5G無線通信時代に向けたD2D通信を活用した安定・高速通信」の技術的特徴
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D2D通信は従来からあるが、「広域エリア」と「スポットエリア」の併用はできず、通信品質の安定化が難しかった。
端末間の通信にはWi-Fiやミリ波などを利用する。中継は複数段にわたって行えるが、ホップ数は「2?3段くらいが実用的」だという。
ちなみに説明員によれば、「中継するユーザーには、何の得があるのか」とよく質問されるそうだ。これに対する答えは次の通り。「困ったときはお互い様と考えてもらうのが一番だが、中継するとポイントを付与するといったアイデアもあるだろう」
実用化時期については未定だが、5Gの始まる2020年には実現したいという。