超高齢化社会を迎えた日本が解決しなければならない課題は数多い。
例えば、徘徊老人の問題がその1つだが、ワイヤレスジャパンと併催されているワイヤレステクノロジーパーク(WTP)のNICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)のブースでは、Wi-SUNを活用した認知症高齢者向け見守りシステムが紹介されている。
Wi-SUNを活用した高齢者見守りシステム。今年3月には千葉県香取郡神崎町で実証実験も行われた |
その仕組みはこうだ。
まず徘徊高齢者には、Wi-SUNタグを身に着けてもらう。Wi-SUNタグは1分毎にビーコン信号を発信し、現在地を知らせる。Wi-SUNは、電波が遠くまで届きやすい920MHz帯を利用する免許不要の無線システムで、「タグの電波は400から500メートルくらい飛ぶ」とブース説明員。また、省電力もWi-SUNの特徴であり、タグは「電池1本で1年くらい保つ」という。
デモ用のWi-SUNタグ |
実用化に向けた課題の1つは、Wi-SUNタグが発するビーコン信号を受信するためのインフラをどうやって構築するかだが、実はメドは付いている。
東京電力などのスマートメーターにはWi-SUNが採用されているが、これが高齢者の見守りにも使えると期待されているのだ。電力会社のスマートメーターを活用できれば、新たにインフラを構築する必要なしに、かなり広範囲のエリアカバレッジを実現できる。
また、地域の協力者のスマートフォンも受信用のインフラとして活用可能だ。さらに、近くにいるスマートフォンを自動検出し、捜索協力を依頼できるアプリケーションも紹介されていた。
地域コミュニティと連携し、近くにいるスマートフォンに捜索協力を依頼することもできる |
認知症を患う高齢者の数は2020年に全国で700万人を超えると予想されている。今後ますます深刻化する徘徊老人問題の解決策としても、Wi-SUNは期待されている。