フォーティネットやデルソニックウォールを大幅に上回る価格性能比キヤノンITSでは、こうした特長を持つClavister社の次世代ファイアウォールを、「アプライアンス製品の販売」「仮想製品・OEM販売」「IoTへの組み込み提案」の3つの方向性で国内販売していく。
まずは「アプライアンス製品の販売」についてだが、セキュリティアプライアンス市場には、すでに数多くの競合がひしめいている。キヤノンITS自身も、フォーティネットやデルソニックウォールの製品を以前から取り扱っており、累計11万台以上のUTMの出荷実績を持つ。そのため、「アプライアンスを販売するかどうかについては、最初悩んだ」と崎山氏。
だが、キヤノンITSは、同じように市場が確立していたエンドポイント向けアンチウイルスにおいて、ESETを国内販売し、一定のポジション獲得に成功した経験を持っている。ESETと同様に、日本市場向けの工夫をこらしながら、Clavisterの拡販を図っていくとのことだ。
Clavisterのアプライアンス製品のラインナップ |
日本国内での知名度は圧倒的に低いが、崎山氏によると、そのコストパフォーマンスはフォーティネットやデルソニックウォールを大幅に上回っている点も大きな強みだという。
フォーティネット、デルソニックウォールとのコストパフォーマンス比較。右側の赤い点線がClavister |
具体的な製品としては、150名規模まで向けの「Clavister E80」を11月に発売予定。参考価格は21万円(UTMライセンス1年付属版)で、販売目標は2020年に25億円としている。
ATMやPOS、医療機器など、多様なIoTデバイスに実装可能このようにアプライアンス製品にも力は入れるが、“本命”は「仮想製品・OEM販売」と「IoTへの組み込み提案」だ。
Clavisterは、x86ベースのハードウェアで実行可能で、VMwareおよびKVMの仮想環境に対応する。こうした仮想アプライアンス製品は競合他社からも多く発売されているが、Clavisterのポイントは軽量さ。
動作環境の最小要件は、記憶領域が32MB、RAMが128MB。チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの12GB、512MBと比べると大幅に小さく、ハードウェアリソースを効率的に利用できるという。
また、オリジナルブランドで販売したい販社向けにOEM提供も行う。
軽量なので、クラウド/仮想環境向けのバーチャルアプライアンスとしても高効率 |
そして、キヤノンITSが最も期待するのが、「IoTへの組み込み提案」。11MBという軽量さを活かし、すでにClavister社では、IoTへの組み込み実績が多くあるとのこと。キヤノンITSでは、ATMやPOS、医療機器、複合機、スマートフォンなど、様々なIoTデバイスへの組み込みを狙っていくという。
軽量のため、リソースが限られているIoTデバイスにも実装できる |