2017年度までに1200名、売上2500億円を目指すNECがサイバーセキュリティ事業を強化

NECは、11月19日、サイバーセキュリティ事業を強化すると発表した。新たなサイバーセキュリティソリューションとして、「セキュリティ統合管理・対処ソリューション」と「脅威・脆弱性情報管理ソリューション」の2つを提供する。販売開始は2015年第1四半期を予定している。

2つのソリューションは、新種のサイバー攻撃を受ける前に先読みして対策を行う「プロアクティブサイバーセキュリティ」がコンセプトだ。時間とともに高度化するサーバー攻撃は、国内で2011年に7460件、2013年には2万7850件と4倍に拡大、従来の対策スピードでは間に合わないという背景がある。また、攻撃の大多数は攻撃ツールなどを使った類似のものであるという。この先読み対策では、攻撃者の行動パターンを収集・分析し、初期行動を察知する。

1つ目の「セキュリティー統合・対処ソリューション」では、通常時はシステム構成を管理し、データベース化し、脆弱性発見時には対策が必要な機器を即時に特定、ネットワークの切断などを自動的に行うものである。2つ目の「脅威・脆弱性情報管理ソリューション」では、世界各地で検知された脅威や脆弱性の情報を基に、NECの専門家による高度な分析を加え、対処情報を即座に提供するものである。

 

サイバーセキュリティ関連事業を2500億円に

サイバーセキュリティ戦略本部本部長の松尾好造氏は、「2013年末に機密情報漏洩につながる脆弱性を含んだソフトウェアがNECグループ内で発見され、NECグループ内調査を開始、サーバ端末約18万台から1時間で対象特定ができた」という。これが集中管理できていない場合には特定に2~3週の時間を要する。

 

NECサイバーセキュリティ戦略本部

本部長の松尾好造氏

セキュリティ対策の増員にも言及し、2013年度に約600人だったものを、2017年度には2倍の約1200人にすると計画しているという。サイバーセキュリティ関連事業の売上げについては2013年度に1100億円だったものを2017年度には2500億円を目標に掲げる。

そのほか、サイバーセキュリティ人材育成として、①サイバーディフェンス研究所を2013年3月に子会社化、②インフォセックを2014年2月に子会社化、③シンガポール政府との共同人材開発を2014年9月に締結、④北陸先端科学技術大学寄付講座を2014年11月に開講するという活動も行っている。

 

2050年の諸問題を見据えた4つの戦略

 

一方、取締役執行役員常務兼CMOの清水隆明氏は、「2050年の地球ではエネルギー需要や都市人口が現在の1.8倍になる」と述べ、NECが社会ソリューション事業として世界が抱える諸問題の解決にどのように取り組むかについて、社会価値創造の7つのテーマを掲げた。テーマは、①Sustainable Earth、②Safer Cities & Public Services、③Lifeline Infrastructure、④Communication、⑤Industry Eco-System、⑥Work Style、⑦Quality of Lifeで、NECでは、「SDN」、「クラウド」、「ビッグデータ」と「サイバーセキュリティ」の4つの戦略を重視しているという。

 

 

NEC取締役執行役員常務兼CMOの清水隆明氏

SDN戦略は2013年7月に発表、スペイン・テレフォニカ社とのvCPEプロジェクトが進行中であることや東日本旅客鉄道や西日本高速道路など、すでに200システム以上で実稼働している。クラウド戦略は2013年9月に発表、クラウド基盤の「NEC Cloud IaaS」の提供を開始して、住友生命グループ会社向け共通IT基盤を実現している。ビッグデータ戦略は2013年11月発表、中国電力島根原子力発電所「大規模プラント故障予兆監視システム」を納入、さらに、上水道管の漏水を早期発見する「漏水監視サービス」も発表している。清水氏は「サイバーセキュリティは重要な課題であり、昨年は508万件、6秒に1回の割合でサイバー攻撃を受けている」と説明、「企業、国を守るためにも強化していく」と述べた。

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