BYODとワイヤレスで稼働効率を改善したコペンハーゲン空港
デンマークの首都の玄関口になるコペンハーゲン空港は、利用者数が年間2000万人を超える大規模国際空港。収益向上のカギの1つは、いかに設備やスタッフの稼働効率を上げられるかが握っているが、そのうえでネットワークが活躍している。
稼働効率を上げるためには、まずは利用者の移動経路や滞留しやすい場所を把握する必要がある。そこで、活用しているのが、無線LANによる位置情報ソリューションである。利用者のスマートフォンから発させられる無線LANの電波をキャッチし、利用者の位置情報を取得。稼働効率の改善に活かしているのだという。3つのキーワードでいえば、利用者のスマートフォン=BYODと、無線LAN位置情報ソリューション=ワイヤレスの2つがコペンハーゲン空港では活用されている。
利用者のスマートフォン(BYOD)と無線LAN位置情報(ワイヤレス)を利用して稼働効率を改善したコペンハーゲン空港 |
2つめの事例は、効果的な医療を実現するため、医療スタッフの緊密な連携を目指していた米国の医療機関Palomar Healthのケースだ。今度はワイヤレスとUCの2つを活用している。
医師や看護師、救急救命士など、様々な関係者が、時間や場所に囚われずに緊密に連携するには、リアルタイム性の高いコミュニケーションをすぐに行うための仕組みが必要となる。そこでまずは、無線IPフォンを導入し、固定設備からの解放を実現。また、ナースコールについても、その無線IPフォンでやり取りできるようにし、ナースステーションにいなくても即座に応答できるようにした。さらに、遠隔にいる医師と患者、院外の専門家などが、ビデオ会議で診断や相談などを行える環境も整えた。
「極端な話、移動中など、通常であれば業務が行えない状況下にあっても、IPネットワークにさえつながっていれば、患者の様態が悪化したときなどに、すぐに対応できるようになった」と半澤氏は説明する。
ワイヤレスとUCを活用して輝くネットワークを実現したPalomar Health |
これらの海外の先進事例も踏まえて、半澤氏は3つのキーワードすべてを活用した、“輝くネットワーク”の1つのアイデアを提案する。テーマパークや博物館、美術館など向けのソリューションだ。
こうした不特定多数の人が集まる施設でよく起こる問題の1つといえば「迷子」である。半澤氏が提示する解決策は、こんな具合だ。
入場パスなどにQRコード等の識別子を付けておき、その識別子で迷子の家族を特定。さらに、家族のスマートフォンをあらかじめ施設内で利用可能なワイヤレス内線電話機しておくことで、すぐに迷子の家族に連絡が取れるという仕組みである。
ユーザーのスマートフォンを施設内で利用可能な内線電話機に。これにより迷子などの際に、迅速に連絡できるようにする |
また、アトラクションやトイレなどの混雑状況の可視化も行える。コペンハーゲン空港と同様の仕組みで利用者の位置情報を取得し、各設備の混雑状況を把握。利用者がスマートフォンから、各設備の混雑状況を確認できるようにすることで、設備の稼働効率や顧客満足度の向上につなげられる。さらに、ワイヤレスを活用した展示情報の配信、店舗でのワイヤレス会計などのソリューション例も紹介した半澤氏。
テクノバンは、ネットワークに限らず、サーバーからアプリケーション、コンサルティングまでを総合的に提供している。今回紹介したアイデアにとどまらず、「ネットワークを輝かせる様々なアイデアの実現のお手伝いをしているので、ぜひテクノバンにご相談ください」とアピールして講演を終えた。