ソフトバンクモバイルは2014年6月5日、同社のグループ会社で人型ロボットを手掛ける仏アルデバラン(本社・パリ)と共同で世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」を開発したと発表した。価格は19万8000円(税別)、2015年2月から全国のソフトバンクショップや直販サイトで販売される。
Pepperは「身長」121cm、「体重」28kgの人型ロボットで、人口知能により周囲の状況を把握、自律的に判断して行動することができる。人の表情や声のトーンなどを分析して相手感情を推定する感情認識機能を搭載しており、親しい友人や家族と接するような自然なコミュニケーションが取れるという。
足部分に搭載された車輪を使って最大3km/時で移動することができる。1回の充電で12時間以上の連続稼働が可能。製造はiPhoneの生産を手掛けている台湾・鴻海精密工業(フォックスコン)が行う。
千葉県浦安市・舞浜で行われた記者発表会で孫正義社長は、プレゼンテーションの冒頭「今日は後世の人が『コンピュータがあの日変わった』と語る歴史的な転換点になる」と述べた。さらに「19万8000円という値付けPCと同程度の値段で買えることを意識したもの。この価格では当面利益が出ないが、量産により将来的には十分にビジネスになる」という見方を示した。「Pepperはまずは日本から展開するが機能がこなれてくれば、海外でも展開する」考えだという。
Pepperと会話をする孫正義社長 |
Pepperは自律動作だけでなく、AIクラウドとの連携が可能であることが大きな特徴となっており、多くのロボットの集合知によって感情を理解する精度などはさらに進化していくという。
Pepperとクラウドとの接続は、無線LAN経由で行われているが、孫社長は「LTE携帯電話モジュールを搭載することで、場所を問わずに利用できるようにすることも計画している」と明かした。
ソフトバンクは、2014年6月6日から表参道および銀座の2店舗を皮切りに、全国のソフトバンクショップ数百店にPepperを順次配置し、来店客がロボットとのコミュニケーションを楽しめる環境を整える。これには来年の販売に向けたプレセールスとしての狙いもありそうだ。
ペッパーでは、世界中の開発者が作ったロボット用のプログラム(ロボアプリ)をダウンロードすることで機能を拡張することも可能となっている。
ソフトウエア開発キット(SDK)の開発者への提供も計画されており、2014年9月に東京で開催されるテックフェスティバルで技術仕様や開発方法の詳細が公開される。