NEC――SDN/NFV契機に新戦略
NECはキャリア向け事業の新たな軸としてNFVを据えた。汎用ハードウェアにネットワークアプリを搭載した「サーバーベースのネットワーク装置」を活用し、これをSDNコントローラから制御する仕組みを実現する。NFVに取り組み、SDNの効能であるCAPEXの削減効果をさらに高める。
NECはこれまで、インテルと共同でNFVの技術開発を進めてきた。インテルが設計した、データプレーンの高速処理を実現するための開発キットDPDK(Data Plane Development Kit)を活用し、キャリア要件を満たすネットワーク機能を汎用ハードウェア上に実装する技術の開発を行っており、汎用サーバー上でソフトウェアによってEPC機能を実現する「Virtualized EPC」を開発する。
すでに実績を持つデータセンター向けSDNと、このNFVの取り組みに加え、今後はトランスポート領域のSDN化も進める。RANやモバイルバックホールへのSDN適用を検討中だ。
さらに、これら3領域のSDN/NFVソリューションを統合的に運用・管理するSDNコントローラやマネジメント管理システムも開発。キャリアインフラ全体にわたる広範な領域でビジネスを展開しようというのがNECの狙いだ(図表4)。
図表4 NECの通信事業者向けSDNソリューション |
制御とOSS/BSSを連携
キャリア向けSDN事業の鍵を握るのが、統合運用管理システムだ。単に、仮想ノード/ネットワークを制御するSDNコントローラを提供するだけでなく、これとOSS/BSS、トラフィック管理システム(TMS)を連携させることで、付加価値の高いソリューションの提供を目指す。
例えば、OSS/BSSが持つ顧客・課金管理や、設備管理、サービス管理の機能とSDNコントローラが連携することで、ネットワーク運用を自動化できる範囲が広がり、より幅広いニーズに対応できる。OSSからの運用コマンドにしたがって、SDNコントローラが自動的にトランスポート層等の仮想リソースを最適化するといった仕組みが可能になる。
NECは今年5月、従来は分かれていたOSSとBSSのプラットフォームを共通化した「NetCracker TOMS 9.0」を発表。このTOMS 9.0において、Virtualized EPCとの連携や、仮想データセンターの管理等のSDN連携機能をサポートしている。
今後は、TMSとの連携も進める。TMSで収集・分析したトラフィック情報をTOMSで視覚化し、リソースの追加割当を指示すると、それにしたがってSDNコントローラが処理能力の拡大や経路の最適化を行うといった運用自動化も可能になるという。この仕組みを使えば、特定事業者のコンテンツやサービスに対して優先的に帯域を割り当て、その対価を得るなどの収益拡大の道が拓ける。