ノキアソリューションズ&ネットワークス――NW仮想化も最終段階に
ノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)が従来から進めてきた「Liquid Core(リキッドコア)」というコンセプトは、コア網の仮想化を目指すものだ(図表2)。
図表2 ノキアソリューションズ&ネットワークスのコア仮想化 |
同社は、その実現に向けて3つの段階を設定。第1段階「オープンコア」は、ATCAサーバーにハードウェアを共通化する取り組みだ。SGWやP-GW、GGSNといった高処理が求められる機能については、未だ専用のネットワークプロセッサを用いているが、「IMSやMMEといったシグナリング制御を含め、ネットワーク機能の9割程度は、x86で動いている」(幡谷氏)と、各種のネットワーク機能をソフトウェアで提供し、汎用ハードで稼働させる仕組みがほぼ構築できている。
現在は、第2段階の「仮想化」を進めている。従来は、ATCAサーバーのシェルフに挿入するブレードごとに単一の機能を割り当てていたが、現在は、複数の機能をバーチャルマシン化して1枚のブレードに集約し、処理能力を柔軟に割り当てることを可能にしている。すでに、欧州のキャリアと共同で検証が進められているという。
こうした取り組みは、まさにNFVに合致するものだ。
自律的に最適化するコア網
次の第三段階では、「SON for Core」と呼ぶ取り組みを進める。これは、SON(Self Organizing Network)をコア網に適用するもの。トラフィックの状況やネットワークの障害情報などを収集・分析し、コア網全体をリアルタイムに最適化することが可能になるという。“いま必要な機能”に対して、CPUの処理能力を割り当てて最大化するといった柔軟な運用もできるようになる。
このLiquid Coreに対して、「通信キャリアは、柔軟性の向上が図れると、ことのほか期待を寄せている」と幡谷氏は話す。
以前の通信キャリアは、端末とサービスの提供を主導しており、インフラ設備の増強を計画的に進めることができた。だが、OTTにカードを握られ、M2M等の従来とは異なるトラフィックも考慮しなければならなくなり、トラフィックの需要予測は非常に難しくなった。サービスや機能ごとに、想定されるピーク時に合わせてネットワークを設計、構築することを迫られ、過度な設備増強を強いられる状況に陥っているのだ。
Liquid Coreは、CPUリソースさえ増強しておけば、その時々で必要な機能に処理能力を割り当て、シグナリングの急増やトラフィック需要の急変にも対応できる柔軟なインフラが実現する。