アクセンチュアは2013年7月17日、消費財メーカー向けソフトウェア製品「Accenture CAS」の最新版の日本展開を開始した。
最新版における一番の特徴は、スマートフォンやタブレット端末に対応したこと。消費財メーカーにとって、ビジネスの最前線にあたるのはスーパーなど小売店の棚だが、その棚情報をスマートデバイスで収集。本部での意思決定にリアルタイムに活用できるようになるという。
アクセンチュア Accenture CAS製品戦略担当統括 マネジング・ディレクター ヘニング・フロム氏 | アクセンチュア モビリティ サービス グループ統括 マネジング・ディレクター 清水新氏 |
消費財業界で激化する“店頭での戦い”
アクセンチュアで消費財業界向けビジネスを統括する関一則氏は、日本の消費財市場の今後について、「“店頭での戦い”(War in Store)が激化していくことは間違いない」と指摘する。
店頭での戦いとはすなわち、スーパーなどの棚をめぐるメーカー間の戦いのことだ。
競争が激化する理由はまず、小売店におけるプライベートブランド(PB)商品の比率上昇にある。近年、日本でもPB商品は増加の一途を辿っているが、関氏によれば欧米諸国と比較すると、まだまだその割合は低いという。つまり、さらにPB商品が棚を占めていき、メーカーブランド商品用の棚は狭くなっていく可能性が高いということだ。
また、商品ライフサイクルの短命化も、大きな要因の1つである。いまや新商品の平均寿命は約2週間。もちろん長く生き残る商品を開発するための努力は大切だが、「かなり短い間に“棚落ち”するという現実を受け入れ、ある意味、割り切りながら、最善の策を打つことが必要」になっているという。
具体的には、発売初期にタイムリーに大きな売り場面積を押さえ、収益を確保すること。これが、その商品の延命期間そのものも大きく左右するという。
スマートデバイスで撮影した棚画像を自動で情報化して意思決定に活用
このように“店頭での戦い”が激化するなか、Accenture CASはどのように消費財メーカーに貢献するのだろうか。Accenture CASは、販促管理から受注・在庫管理、レポーティング・分析まで、多様な機能を備えているが、スマートデバイスの関連する部分にフォーカスして紹介する。
Accenture CASの概要 |
Accenture CASがスマートデバイスに対応するのは今回が初。最新版では、iOS、Android、Windows 8に新たに対応した。Accenture CAS製品戦略担当統括のヘニング・フロム氏は、「1つのソースコードで複数のプラットフォームに対応できる。また、マルチデバイスなので、BYODもサポート可能だ」と説明した。訪問計画支援やTo Do管理など店舗営業をサポートする様々な機能が、各モバイルOSに最適化されたUIで利用できるようになったという。
興味深いのは、オプション提供の「デジタルマーチャンダイジングサービス」だ。これは、スマートデバイスを使って棚を撮影すると、数値化された棚情報がシステムに入力されるというもの。画像認識技術を使って棚画像を分析し、棚情報を数値化。さらにアクセンチュアのBPOセンターで人手により情報を修正し、精度を高めているという。
デジタルマーチャンダイジングサービスの概要 |
店舗営業もしくは専任のマージャンダイザーを使って、棚の状況を監査しているメーカーは多いが、同サービスを利用するメリットは第一に監査効率。フロム氏によると、棚を撮影するだけで監査が終わるため、最大80%の店舗監査時間の低減につながるという。また、手入力と比べて、データ精度も最大66%向上するとのこと。
この結果として本部サイドは、最前線の状況をよりリアルタイムに、より正確に掴んだうえで、意思決定できるようになる。「モビリティは“意思決定革命”をするための手段だ」――。アクセンチュアでモビリティ サービス グループ統括を務める清水新氏は、企業がスマートデバイスなどのモビリティを活用する意義について、こう話した。