ケーブル技術ショー開催 地域DXの加速へ“地域BWAの5G化”がカギ 

CATV業界向けの最新技術・ソリューションが一堂に会する「ケーブル技術ショー2025」が開催された。CATV事業者は地域DXの担い手として期待されており、無線の活用も重要なミッションだ。展示やセッションでは、地域BWAを5G化し、トラフィック増加に対応する取り組みが紹介された。また、Wi-Fiを活用した高齢者見守りや、60GHz帯電波を利用した映像伝送ソリューションなども来場者の注目を集めていた。

CATV業界向けの最新技術・ソリューションを紹介する展示会「ケーブル技術ショー2025」が、2025年7月24日・25日の2日間にわたって開催された。

地域BWAの5G化に向け取り組み進む

日本ケーブルテレビ連盟が策定した「2030ケーブルビジョン」では、CATV業界が「地域MNOとして第5のモバイルキャリアを目指す」ことがミッションとして掲げられている。

2030年に向けたケーブルテレビ業界のミッション(出典:日本ケーブルテレビ連盟『2030ケービルビジョン』(第3版))

2030年に向けたケーブルテレビ業界のミッション(出典:日本ケーブルテレビ連盟『2030ケービルビジョン』(第3版))

その基礎となるのが地域BWAだ。全国350社のCATV事業者のうち、113社が地域BWAを提供している(2024年6月現在)。

地域BWAは2.5GHz帯を用いた4G(LTE)通信サービスで、1つの基地局で半径2~3kmという広いカバレッジを確保できる一方、「帯域幅が20MHzのためトラフィック増加に対応できない」と、併催イベント「ケーブルコンベンション2025」のセッションに登壇したZTV 新事業推進部 課長代理の小林祐也氏は課題を述べた。

三重・滋賀・和歌山県と京都府でサービスを提供するZTVでは、2.5GHz帯の地域BWAで広域をカバーしつつ、人口密集地ではローカル5Gを補完的に活用するというアプローチを採っている。Sub6(4.9GHz)帯を利用するローカル5Gは、電波の直進性が高く遮蔽物の影響を受けやすいためカバレッジに課題があるが、「100MHzの帯域幅があり、速度・容量は十分(に確保できる)」(小林氏)。この構成により、同社は家庭向けFWAサービス「Z-LAN Air 5G」を提供し、若年層を中心に加入者が増加しているという。

ただ、「現状は地域BWAとローカル5Gは完全に別システム」(小林氏)。そこでZTVは、地域BWAのNR(5G)化に取り組んでいる。地域BWAをローカル5Gに統合する形でNR化を進め、現在78局の地域BWA基地局のうち60局をNR化する計画という。

地域BWAのNR化を後押しするソリューションを展示していたのがFLARE SYSTEMSだ。ローカル5Gシステムの構築で実績が豊富な同社は、4Gと5Gに両対応したBWA基地局を開発。ハードウェアを共通化し、ソフトウェア制御により4Gと5Gを切り替えて運用できる。

FLARE SYSTEMSのBWA 5G実証システムのイメージ

FLARE SYSTEMSのBWA 5G実証システムのイメージ

「ローカル5GもBWAも周波数が異なるだけなので、同じベースで動かせる」と企画本部長の多田裕司氏は話した。今後、基地局を中心としたシステムの実証実験を今年11月にかけて実施する予定だという。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。