2月末にスペイン・バルセロナで開かれたMobile World Congress 2013(MWC2013)で、NTTドコモ取締役執行役員マーケティング部長の永田清人氏は、新OS「Tizen(タイゼン)」を搭載したスマートフォンを、今年後半に日本市場に投入することを明らかにした。1号機は韓国サムスン電子製で、2014年には富士通やNEC製の端末の発売も見込まれている。
Tizenは、オープンOSを推進するLinuxファウンデーションの「Tizenプロジェクト」で規格が策定されている新たなスマートデバイス向けOSで、サムスンと米インテルが開発を主導している。
これと並行して、2012年1月に発足した推進団体「Tizenアソシエーション」がマーケティングやビジネスモデルの検討などを担っており、端末・チップベンダー6社とドコモ、仏オレンジ、英ボーダフォン、韓国のKT、SKテレコム、米スプリント・ネクステルの有力キャリア6社が参加している(図表1)。中でもドコモは、永田氏が今年2月までTizenアソシエーションの初代チェアマンを務めるなど、Tizenの商用化に意欲的な姿勢を見せてきた(現チェアマンはドコモマーケティング部担当部長の杉村領一氏)。
図表1 TizenとFirefox OSの概要 |
MWC2013のプレスミーティングで永田氏は、「Tizenが生き残るには、世界シェアの15~20%をとることが最低ラインとなる」と意欲的な目標を口にしている。世界シェア2割は、iPhoneのiOSの昨年実績に相当する。これを実現しようとすればドコモ自身も、Tizen搭載端末を、現在主力として展開しているAndroid端末と同等以上に売る必要に迫られる。
ドコモはなぜそこまでTizenに力を入れるのだろうか。世界シェア2割は本当に可能なのか――。ドコモへの独自取材を元に、Tizen戦略を見ていく。
NTTドコモ マーケティング部 プロダクト戦略担当課長 武岡雅則氏 | NTTドコモ プロダクト部 技術企画担当 三浦智氏 |