ブロケードがシャーシ型ファブリックスイッチ投入「SDNとは共存する」

ブロケード コミュニケーションズ システムズがイーサネット・ファブリックのラインナップを強化した。従来ボックス型のみだったが、新たにシャーシ型の「Brocade VDX 8770」を投入する。また、OpenFlowコントローラを開発しない理由など、同社のSDN戦略についても語られた。

ブロケード コミュニケーションズ システムズは2012年10月3日、イーサネット・ファブリックに対応したシャーシ型スイッチ「Brocade VDX 8770」を発表した。これまで同社のファブリック対応スイッチは、VDX 6710/6720/6730のボックス型スイッチ3機種だったが、今回初めてシャーシ型も投入した。

Brocade VDX 8770
Brocade VDX 8770

「これによりスモールスタートしたい人からスケールが必要な人まで、小規模から大規模までラインナップが揃った」と同社代表取締役社長の青葉雅和氏。すでに日本でもサイバーエージェントがVDX 8770の導入を決めているという。

シャーシ型の投入でスケーラビリティが大きく拡大した
シャーシ型の投入でスケーラビリティが大きく拡大した

1シャーシで38万超の仮想マシンに対応

VDX 8770の概要は以下のスライドの通りだ。4スロットと8スロットのモデルを用意し、8スロットモデルでは単一のファブリックで最大8000ポート、シャーシあたり38万4000の仮想マシンに対応できる。

VDX 8770の概要
VDX 8770の概要

また、ポート間の遅延時間が3.6マイクロ秒に抑えられているほか、SDN(Software Defined Network)の1形態であるオーバーレイネットワークを実現するためのトンネリング技術、VXLANとNVGREもハードウェア処理できる。米国での参考販売価格は8万5000ドルからだ。

「OpenFlowコントローラはだんだん重要でなくなる」

会見では、同社のSDN戦略についても語られた。来日した米本社CTO兼バイスプレジデントのデイブ・スティーブンス氏は、「ネットワーク業界では劇的な変化が起こっている。これからは、極端なくらいシンプルなアーキテクチャにしていかなければならない」としたうえで、「ファブリックとSDNという2つのテクノロジーが今後の我々の中核になる」と強調。

同社はかねてから、データセンター内はファブリック、データセンター間はSDN/OpenFlowという共存のかたちを訴えているが、改めてこの両テクノロジーに注力していく姿勢を示した。

さらに、OpenFlowにおけるブロケードの優位性の1つとしてスティーブンス氏は、「ハイブリッド・モード」を紹介。これは1つのネットワーク機器の中で、従来のIP/MPLSネットワークとOpenFlowネットワークをポート単位で共存させられる機能だ。

ブロケードが提供するハイブリッド・モード。従来ネットワークとOpenFlowを共存させられる
ブロケードが提供するハイブリッド・モード。従来ネットワークとOpenFlowを共存させられる

ブロケードは自社ではOpenFlowコントローラを開発しない方針を打ち出しているが、この理由に関してもスティーブンス氏は次のように言及した。「我々としては、ユーザーのほうでコントローラを選択できるようにしたい。また、私の意見としては、コントローラはだんだん重要でなくなっていくと考えている。なぜならコントローラの標準化が今後進んでいくからだ」

また最近、ネットワーク業界でよく出る話題として、「ASIC」対「マーチャントシリコン」という構図があるが、スティーブンス氏は「我々もマーチャントシリコンは使っている。データセンター向けなど特定のアプリケーションにフォーカスする場合に、ASICを使ってマーチャントシリコンではできない価値を実現していくというのが、ブロケードの戦略だ」と説明した。今回発表されたVDX 8770もブロケード独自開発のASIC搭載が1つのポイントになっている。

Brocade ASICの概要
Brocade ASICの主な特徴

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