IoTデータの洞察を生成AIでテキスト化
国内企業は、AWSの生成AIサービスをどのように使っているのか。AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏は、「非常に多くのお客様がAWSで生成AIの本番利用を開始している」と述べ、5つの生成AI活用事例を紹介した。
1つめは、オンライン英会話「レアジョブ英会話」を展開するレアジョブテクノロジーズだ。
レアジョブ英会話では、講師がレッスン内容をテキストでフィードバックする「レッスンレポート」を受講者に渡しているが、このレポートの作成をAmazon Bedrockを用いて自動化したことで、講師の負担軽減に成功したという。また、文字起こしされたレッスンの内容に対して、復習に役立つコンテンツを自動作成するといった新しい顧客体験の創出も可能になったとのことだ。
レアジョブテクノロジーズの事例
2つめは、カルテ自動生成アプリ「medimo」を開発するPleapの事例である。
カルテは患者との会話を踏まえて医師が作成するものだが、数分の診療時間の間に充実した内容をカルテに盛り込むことは難しい。そこで同社は、会話内の重要事項等をAmazon Bedrockが抽出し、リアルタイムかつ自動で文章作成できる仕組みを構築。これまではカルテに会話の1~2割程度の内容しか記載できなかったが、Amazon Bedrockの活用により、7割程度記録できるようになったという。
Pleapの事例
3社目は、特許分析ツール「Biz Cruncher」を提供するパテント・リザルトだ。
具体的には、Amazon Bedrockを用いて、特許情報に関する図表や要約を自動で行う機能を開発。同機能により、ユーザーが1つの特許情報を読み解く時間を約80%削減できることを確認したという。
パテント・リザルトの事例
4社目は、IoTデータ収集サービス「iXacs」を展開するi Smart Technologiesの事例である。
Amazon BedrockのClaudeを使用して収集したIoTデータから得られる知見をテキストで説明する機能を実装した。これにより、現場監督者が毎朝データ分析に費やしていた時間を70%以上減らすことに成功した。
i Smart Technologiesの事例
そして5つめは、ホームページ制作サービスを提供するペライチの事例だ。
AWSジャパン協力のもと、参考にしたいサイトのURLを入力するだけで、AIがサイトを自動生成してくれる「ペライチクリエイトアシスタント」を開発。11営業日以上の納期を要していた叩き台となるWebページの制作を、初期費用をかけずに10分で可能になったという。
ペライチの事例
今年7月には、モデル選定・カスタマイズから本番環境の構築までを支援する「生成AI実用化推進プログラム」をスタート。「プログラム発表時には50社を目標にしていたが、すでに60社以上がこのプログラムを利用している。締め切り期間を延長し、多くのお客様を支援していきたい」と小林氏は話した。