OpenFlow導入ガイド[後編]――対応ベンダー急拡大で気になる製品選びのポイント

グーグルやNTTコミュニケーションズが商用環境で利用するなど、すでに“実導入”フェーズに入ったOpenFlow。後編では、徐々に選択肢が広がりつつあるOpenFlow対応製品の選び方のポイントを解説する。

OpenFlowスイッチの最新動向

ホップ・バイ・ホップ方式の場合、前述の通り、OpenFlowに対応したハードウェアスイッチの導入が必須になる。当初は、商用のOpenFlowスイッチというとコントローラーも提供するNECくらいしかなかったが、現在ではかなり提供ベンダーが増えている。

日本HP、ジュニパーネットワークス、日本IBM、Pica8のスイッチががすでにOpenFlowをサポートしているほか、ブロケード コミュニケーションズ システムズが今夏、シスコシステムズが2012年第4四半期から対応スイッチの提供を始める計画だ(シスコは、SDN研究のための機能検証用という位置付けでの提供)。また、アリスタネットワークスも「年内に1Uサイズの10Gスイッチ、Arista 7050がOpenFlowに対応予定だ」と同社の代理店も務める東京エレクトロンデバイスの宮本氏は説明する。

これらのOpenFlowスイッチは、NECを除くと、OSやファームウェアのアップグレードによって従来から提供中のスイッチをOpenFlow対応にするアプローチが主流になっている。

例えば、ブロケード コミュニケーションズ システムズの場合、今夏にリリース予定の「Brocade 5.4 Software for NetIron」へのアップグレードにより、サービスプロバイダー向けのシャーシ型ルーター「Brocade MLX」および1Uサイズのコンパクトスイッチとルーター「Brocade NetIron CES、CER」がOpenFlow 1.0に対応する。

「アップグレードは無償で可能。現在NetIronシリーズを使っているユーザーは、すでにSDNレディのネットワークを使っているといえる」と同社 サービスプロバイダーシステムエンジニアリング本部 本部長の村田眞人氏は語る。ジュニパーネットワークス、HP、IBM、アリスタネットワークス、シスコシステムズなども同様のアプローチだ。

ブロケード コミュニケーションズ システムズ サービスプロバイダーシステムエンジニアリング本部 本部長の村田眞人氏
ブロケード コミュニケーションズ システムズ サービスプロバイダーシステムエンジニアリング本部 本部長 村田眞人氏

なお、ブロケードの場合、既存ネットワークからOpenFlowへの速やかな移行を可能にする「ハイブリッド・モード」が特徴の1つとなっている。これは、1つのスイッチの中で、従来型のルーティング用とOpenFlow用をポート単位で使い分けられる機能だ。

さらに、このハイブリッド・モードを活かした「プロテクテッドモード/アンプロテクテッドモード」という興味深い機能も提供する。アンプロテクテッドモードは、OpenFlowのフローエントリーに記述されているパケットはOpenFlowで処理し、それ以外は従来のルーティングで処理するというもの。プロテクテッドモードはその逆である。これにより、特定の通信だけをOpenFlowで処理することなどが可能になる。

図表2 アンプロクテッドモードのユースケース
アンプロクテッドモードのユースケース
(出典:ブロケード コミュニケーションズ システムズ)

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