「エッジの課題はスケール」 SUSEがエッジコンピューティング説明会

通信事業者向けオープンコミュニティ「Sylva」らで集合知

一口にエッジと言っても、それが指し示す範囲は広い。「エッジとはざっくり言えば、データセンターやクラウドの外にあるものだが、いろいろなお客様と話すなか、3つのセグメントに区分できると気が付いた」とSUSE Edgeビジネスユニット ジェネラルマネージャーのキース・バジル氏は述べた。

1つめは、エッジと言ってもクラウドの近くにある「Near Cloud」だ。通信事業者のMECがその代表例である。2つめは「Far Edge」で、企業の工場や店舗といったロケーションに設置されたコンピューティングリソースだけでなく、クルーズ船や人工衛星などもFar Cloudの一例として挙げられるという。

そして、3つめのセグメントが「現実世界とデジタルの世界が対面する」(バジル氏)、センサーデバイス等の「Industrial IoT(Tiny)Edge」である。

通信事業者が求める高い信頼性などに応える必要があるNear Cloud、デバイスのコンピューティングがリソースが小さいためセキュリティ対策ソフトの実装も難しいIndustrial IoT(Tiny)Edgeと、これら3つの要件は大きく異なるため、SUSEではセグメントごとに製品を用意する。

SUSEによるエッジの分類

SUSEによるエッジの分類

バジル氏は、エッジコンピューティングの発展と自社ソリューションの強化のため、オープンコミュニティに積極参加していることも強調した。

例えばインダストリアルIoTの領域では、Linux Foundation傘下のMargoに参加する。エッジアプリケーションやエッジデバイスの相互運用性の実現を目指したコミュニティだ。

また、通信事業者のクラウドとエッジの領域ではSylvaに参加する。SylvaもLinux Foundation傘下のコミュニティで、オレンジ、テレフォニカ、Tモバイルといった欧州の有力通信事業者、ノキア、エリクソンなどが参加している。

バジル氏が挙げたエッジの課題の1つはスケール。「クラスター数が1つ2つであれば管理は難しくないが、例えばあるアメリカのスーパーは1100店舗を展開しており、数千のクラスターを扱わなければならない」

セキュリティもそうだ。「堅牢に守られているデータセンターと違って、エッジとなると非常に様々な脅威にさらされる」。さらに、Industrial IoT(Tiny)Edgeも含めてオブザーバビリティ(可観測性)をどう確保していくかも今後大きなテーマになっていく。

このように「エッジにはやはり様々な課題があるが、みんなの知恵を結集することで、より優れたソリューションを提供していこうとしている」と、バジル氏はSUSEがオープンコミュニティでの活動を重視している理由を説明した。

また、SUSEは今年、オブザーバビリティプラットフォームを提供するStackState社を買収しており、オブザーバビリティも強化していく。

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