中国AI産業の現在「業種特化型モデルが1000以上」 進化のカギは“身体性AI”

野村総研の李智慧氏によれば、中国のAI産業は「汎用型モデルよりも、業界特化型モデルに注力している」。安くてイノベーションの早い中国のAIテクノロジーを、地政学リスクが高くないサービス業のスマート化や防災の効率化に活用することで、日本はAIサービスを迅速に立ち上げられる可能性があるという。

野村総合研究所 未来創発センター 戦略企画室 エキスパート 李智慧氏

野村総合研究所 未来創発センター 戦略企画室 エキスパート 李智慧氏

野村総合研究所(NRI)は2024年8月22日、メディア向け説明会を開催し、同社エキスパートの李智慧氏が中国のAI産業の最新動向について解説した。

「中国は法規制があるためAIのイノベーションは早くないという見方は誤解である。一般大衆に影響を与えない、安全保障に抵触しない領域の規制は緩やか。中国AI産業の特徴は、迅速な社会実装が可能なことだ」

李氏によると、中国は米国に次ぐレベルでAI産業の発展が進んでいる。例えば、AI企業の数は世界第2位で、2024年4月末までに合計305個のAI基盤モデルが発表されているという。

中国のAI産業の概況

中国のAI産業の概況

もちろん、中国の基盤モデルが、OpenAIのGPT-4などの米国製に肩を並べつつあるというわけではない。「評価手法が統一されていないので比較は難しいが、総じて中国製の実力は米国製に及ばない」。中国語環境では性能を上回るものの、汎用的な性能では米国製に追い付いていないというのが現状だ。

むしろ中国のAI産業で注目すべきは、業務特化型モデルである。

中国の法規制の特色は、まずはトライしてみて、問題が起これば規制する「後追い規制」。世論への影響もある一般大衆向けの汎用型モデルについては当局への届出が必要なのに対し、企業向けのモデルは届出不要で商用化できるという事情もあり、「これまでは『GPTに追い付け追い越せ』だったが、今は汎用型モデルというより、業界特化型モデルにより注力している」という。

今年5月時点で当局の審査を通過している基盤モデルは140個だが、基本的に届出が不要な業界特化型については「1000以上のモデルが発表されていると言われている」と李氏は説明した。

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