光伝送システム市場は今、節目を迎えようとしている。1波長当たりの伝送容量がついに1テラを突破。市場には「1波1.2Tbps」の伝送装置が登場しており、2025年には「1波1.6Tbps」の投入も計画されている。
この大容量化を生み出した光伝送技術の進化は、一方で、これまで市場の主役であったシャーシ型/ボックス型の“伝送装置離れ”も引き起こしている。データセンター間接続(DCI)やメトロネットワークといった短・中距離伝送で、いわゆる“プラガブル”の普及が本格化しそうだ。
プラガブル流行で市場に変化
光伝送装置の一部である光電変換/送信機能(トランスポンダー部)を光トランシーバーに集約した「プラガブルモジュール」(コヒーレント光トランシーバーモジュール。以下、「プラガブル」と表記する)をIPルーター/スイッチに挿入する─。DCIでは近年、こうしたシステム形態が流行している。
利点は、高価なトランスポンダー装置が不要になること(図表1)。ルーター/スイッチとトランスポンダーをつなぐ大量の光トランシーバーと配線もなくせるため、機器代と設置コスト、スペース、消費電力を大幅に削減できる。加えて、技術進歩の速いトランスポンダー部を伝送装置から分離すれば、新技術を取り入れやすくもなる。
図表1 光伝送システムの機能分離とIP/光統合
ただし、プラガブルは、専用装置と比べるとどうしても性能面では劣る。ファイバー1本当たりの伝送容量・距離を最大化しようとすれば、やはり専用装置を使うべきだ。広がった選択肢を活かすために、ソリューションごとの特性を見極めて適材適所に使い分ける知恵とノウハウがますます重要な時代と言えよう。