KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル、CATV事業者など181者は2023年12月4日、NTT法の見直しに関する意見表明を行った。
これは、自民党のプロジェクトチーム(PT)が「2025年を目途にNTT法を廃止する」との提言案をまとめたことを受けてのものだ。
意見表明では、NTT法が廃止された場合、(1)公正な競争環境が阻害され、利用者料金の高止まりやイノベーションの停滞など、国民の利益を損なう。(2)競争でカバーできないエリアについては引き続きNTTがラストリゾートの役割を担うことが適当と考えるが、NTTが当該公益的な責務を負わなくなる。(3)地域事業者の排除により情報化、防災、生活情報などの地域情報発信機能が失われ、地域サービスが衰退する懸念が生じるなどの懸念があるとしている。
公正競争、ユニバーサルサービス、外資規制の観点からNTT法廃止には反対している
また、「デジタル田園都市国家構想」の実現においては、情報通信インフラの健全な発展や事業者間の公正な競争環境がこれまで以上に必要とされると指摘。NTTとの公正な競争環境を整備し、多様なプレーヤーの競争を通じたイノベーションや地方創生を支えるためにも、電気通信事業法とNTT法を通信制度の両輪とする前提の下での制度設計がなされるべきとしている。
意見表明後にはKDDI、ソフトバンク、楽天モバイル、日本ケーブルテレビ連盟のトップが出席して記者会見が開催された。
冒頭、4社を代表してKDDIの髙橋誠社長が「自民党PTの提言案は、NTT法の廃止というNTT1社のみの意向に沿ったものであり、市場を形成している様々な企業、そして何より国民の声を十分聞いたものと言えないのではないか」と発言した。
KDDI 髙橋誠社長
各社とも、NTT法によってNTTに課されている研究成果の開示義務の撤廃については賛成の意向だ。しかし、NTT法は公正競争やユニバーサルサービスなどにも関わってくるだけに、「廃止を議論するのであれば、オープンな場で十分議論を尽くすべき」と髙橋社長は主張した。