「垂直統合モデルの“復活”へ4つのアプローチ」――NECがキャリア事業戦略説明会

NECがキャリアネットワーク事業に関する説明会を開いた。スマートフォンが急増するなか、キャリアは“土管化”という課題に直面するが、どうすれば収益を拡大できるのか。M2M、キャリアクラウドなど、NECでは4つのアプローチをキャリアに提供するという。

M2Mで新たな垂直統合モデルを!

最初の3つの重点領域がハードウェア事業であるのに対して、この「サービス&マネジメント事業」はサービスやソフトウェアなどを提供するものだ。NECの推計によるとキャリア向けハードウェア市場の今後の成長率は4%だが、ソフトウェアやサービスの市場は8%であり、「本当の成長領域だと思っている」(山口氏)という。

NEC 執行役員 兼 キャリアサービス事業本部長 山口昌信氏
NEC 執行役員 兼 キャリアサービス事業本部長 山口昌信氏

では、NECはこの領域において何に注力していくのか。「スマートフォンの時代に入り、ネットサービス事業者が直接ユーザーにサービスを提供するようになったことで、キャリアは“中抜き”になっている。そのためトラフィックが増大しても、収益は伸びないという課題にキャリアは直面しており、収益拡大に向けた新しい施策が必要」としたうえで、「4つのアプローチで貢献したいと考えている」と山口氏は語った。

サービス&マネジメント事業の重点施策。4つのアプローチに注力していく
サービス&マネジメント事業の重点施策。4つのアプローチに注力していく

まずは「垂直統合モデルの“復活”」だ。キャリアが新たな垂直統合モデルを構築できる可能性があるとされたのは、M2M(Machine to Machine)である。「ありとあらゆるモノをネットワークにつなぐのがM2Mだが、つなぐのはキャリアの役割。そこでM2Mでは、キャリアはサービスまで含めた垂直統合モデルを実現できるのではないかと考え、NECでは注力している」(山口氏)。NECはM2Mサービスを実現するための基盤などをクラウド型で提供する「CONNEXIVE」を提供している。

M2MサービスへのNECの取り組み
M2MサービスへのNECの取り組み

2番目のアプローチは「スマートフォンサービス」である。「すべての機能が今後スマートフォンに集約されていくが、それにはやはり不安も付きまとう。NECが他社に先駆けて開発したスマートフォンサービス基盤を利用すると、電話番号などのキャリアの資産を活用した安心・安全なスマートフォンサービスをキャリアは提供できる」という。

スマートフォンサービスへのNECの取り組み
スマートフォンサービスへのNECの取り組み

3番目は「キャリアクラウド」である。現在スペインの大手キャリア、テレフォニカと一緒にキャリアクラウドのビジネスを進めているが、他にもタイ最大のキャリアや中国、インド、ヨーロッパ、中南米のキャリアと契約、あるいは受注しているという。NECでは、ITとネットワークの両方のノウハウを持つ強みを生かし、SaaSやIaaSなどの一般的なクラウドサービスにとどまらず、ユニファイドコミュニケーションをクラウド化した「WaaS」(Workplace as a Service)、遠隔教育/医療やデジタルサイネージ、スマートシティなどをクラウド化した「CaaS」(Community as a Service)もキャリア向けに提供していく考えとのことだ。

キャリアクラウドへのNECの取り組み
キャリアクラウドへのNECの取り組み

最後の4番目のアプローチは「次世代OSS/BSS」である。子会社のNetCrackerを軸に、サービスの早期導入やOPEX削減を可能にする次世代OSS/BSSを提供していく。

次世代OSS/BSSの果たす役割
次世代OSS/BSSの果たす役割

以上の4つのアプローチを国内/海外で進めていくことで、2010年度に770億円だったサービス&マネジメント事業の売上高を2011年度に1000億円、2012年度に1470億円とする計画だという。

キャリアネットワークBU全体では、前年度比25%増の売上高7600億円、営業利益570億円が2011年度の予想値となる。そして、NECの中期経営計画「V2012」の最終年度である2012年度には、「売上高9000億円、営業利益率9%を達成する」(手島氏)とのことだ。

これら施策により、2012年度に売上高9000億円、営業利益率9%を目指す
これら施策により、2012年度に売上高9000億円、営業利益率9%を目指す

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