「一昨年は赤字だったが、2022年度は黒字に転換し、利益に貢献する事業へと育ってきた。生成AIも含めて開発投資を続ける」
2023年8月30日に実施したDX事業に関する説明会で、NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏は手応えをこう述べた。
NEC 取締役 代表執行役社長 兼 CEOの森田隆之氏
成長事業に位置づけるこの「コアDX」をさらに推進するため、2023年度は体制を強化した。4月に、DX関連の社内リソースを一元化したデジタルプラットフォームビジネスユニットを創設。2022年度に2400億円だったDX関連売上を2025年度には5700億円まで増やす計画だ。
「コアDX」の売上実績と2025年度目標
キーポイントは「コンサル人材」と「生成AI」
顧客企業のDX推進を目的とするDX事業において、NECがキーポイントの1つとしているのが「コンサルティング起点」だ。
各業界に精通したコンサルタントと技術者・研究者が連携し、先端テクノロジーの活用を見据えた戦略構想の策定から支援。執行役 Corporate EVP 兼 CDOの吉崎敏文氏によれば、これまで約200社にコンサルティングサービスを提供してきているという。
コンサルティング起点で顧客企業のDXを推進
ただ、DX事業を本格スタートさせた2019年度時点では、NEC社内に「戦略コンサルは持っていなかった」(同氏)。理由は「グループ企業にABeamがあったから」だ。
アビームコンサルティングは現在、7500名のコンサルタントを抱えており、これとNEC社内で育成したコンサルタントが連携するかたちでDX事業を進めてきている。これが、DX事業の“黒字転換”の要因の1つになっていると吉崎氏は指摘。「2019年度に外部採用の10名で始めた(社内の)コンサル体制は、今年度500名になった。外部採用も続けているが、その多くが社内でIT/ネットワークの実装経験者をコンバートした人材だ」(吉崎氏)。
NEC本体のコンサル能力を強化する理由は、社内の技術者を活かすことで「デバイス、アプリケーション、インフラの開発ロードマップを見据えたうえでコンサルする」ため。2025年度にはコンサル人材を1000名体制まで拡充する計画という。
そして、もう1つの注力ポイントが生成AIである。
NECは2023年5月から国内グループ各社に社内向け生成AIサービスを展開。そのノウハウを基に、顧客企業に対して生成AIを活用したDXサービス提供へと繋げていこうとしている。