テレビ会議で脱“金太郎飴”組織――中古車大手ガリバーの企業文化改革

従来の「中央集権型」に、社員1人ひとりが考える「自律分散型」の企業文化をプラス――。ビジネスモデルを第二フェーズへと移行させるため、ガリバーはテレビ会議を活用した。

衛星放送で“トップダウン”

全国一律をキーワードとする第一フェーズのビジネスモデルを機能させるため、ガリバーでは創業当初から社内コミュニケーションを非常に重視してきた。

そのため、新人研修の場でのトップとのコミュニケーションや店舗への「社長行脚」などだけでなく、ICTツールも積極的に活用してきている。図表2が同社のICTツールの活用状況をまとめたものだ。これらのコミュニケーションツールの目的は3つに大別できる。

図表2 ガリバーインターナショナルのICTツールの名称と内容・目的
図表2 ガリバーインターナショナルのICTツールの名称と内容・目的

1つは、トップダウンで全社的な方針を伝達すること。社内ポータルサイトの「G-win」やスカイパーフェクト・コミュニケーションズの衛星放送を用いた社内テレビ「マンデーガリバー」がそれに当たる。マンデーガリバーは毎週月曜日にトップメッセージを衛星放送で全社員に発信するものだ。映像を活用することで、よりフェイス・トゥ・フェイスに近い形でトップのメッセージを組織の隅々まで伝えることができる。

ポータルサイトの「G-win」にアクセスすれば、マンデーガリバーや営業会議などの動画を見ることができる
ポータルサイトの「G-win」にアクセスすれば、マンデーガリバーや営業会議などの動画を見ることができる

これ以外にも、店長を本社に集めて行う営業会議の様子を全国の店舗に中継しており、店舗に残っているスタッフも営業会議の模様を見ることができる。営業会議に参加していないスタッフにも場の熱が伝わるというわけだ。G-winにアクセスすれば過去の営業会議の動画ファイルも参照できる。

2つめの目的は、進捗管理の効率化や業務改善である。リアルタイムで業務の進捗情報を共有・確認する「掲示板」、業務の内容やルール、企画などに関する改善策を社員が投稿する「カイゼンサイト」、「クラウドサイト」がその機能を担っている。クラウドサイトはグーグルのクラウドサービス「Google Apps」を用いた業務システムで、ワークスタイル変革による業務効率化を目的に導入した(関連記事)。

最後の目的は個店の創意工夫を発現させること。つまり、小売事業への進出というビジネスモデル第二フェーズのカギを握るのはこの3つめだ。店長同士のディスカッションの場を提供するテレビ会議システムがその役割を担う。

月刊テレコミュニケーション2011年8月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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