<特集>もっと儲かる5Gへスライシングで新たな競争へ 5G SA時代の有力な収益源

5G SAの目玉ネットワークスライシング。柔軟なネットワークの提供が可能になり、通信事業者にとって有力な収益源となる。ソリューションとして提供することで、アセットやノウハウを含めた競争になりそうだ。

楽天はグローバル展開も視野に

ソフトバンクは、3月下旬に開始した「プライベート5G」の共有型でネットワークスライシングを提供している。

共有型はパブリック5Gの設備や電波を利用するサービスだが、スライシングで論理的に複数のネットワークに分割することで、仮想的に専用の5Gネットワークを利用することができる。

スライスごとに優先度やスループットが異なっており、スマホの利用が集中する時間帯やネットワークの輻輳時には、ネットワークリソースを最適に割り振ることで、優先度の高いスライスについては遅延が抑制される。

楽天モバイルでは、商用ネットワークの一部に5G SA機能を導入しているものの、提供時期は未定だ。ネットワークスライシングについては様々な実証実験を行ってきた。

同社はオーケストレーターと呼ばれる機能を用いてネットワークの装置構成や使用状況を自動的に設定・管理・調整するオーケストレーション技術とネットワークスライシングを組み合わせた「ネットワークスライスオーケストレーション技術」を開発。ネットワークスライシングの構築から運用までAIを活用することで、サービスごとに細かい制御をかけてネットワークリソースを効率的に割り当て、ユーザーが求めるサービス品質を保証することなどが可能だ(図表3)。

図表3 「ネットワークオーケストレーション技術」のイメージ

図表3 「ネットワークオーケストレーション技術」のイメージ

ネットワークスライスオーケストレーション技術は、子会社・楽天シンフォニーが展開するプラットフォーム「Symworld」に組み込み、グローバルに展開することも視野に入れる。

プラスMECで新領域の開拓も

ネットワークスライシングには、どのようなユースケースがあるのか。

NTTコミュニケーションズ 5G&IoT部 5Gサービス部門 第二グループ担当課長の辻野大輔氏は、顧客企業の期待が大きい用途として、「映像伝送」「遠隔医療・制御」「協調・自律制御」「XR・メタバース」の4つを挙げる。

NTTコミュニケーションズ 5G&IoT部 5Gサービス部門 第二グループ担当課長 辻野大輔氏

NTTコミュニケーションズ 5G&IoT部 5Gサービス部門 第二グループ担当課長 辻野大輔氏

映像伝送は、冒頭で紹介したテレビ中継の場合、専用機材を搭載した中継車を現場に持ち込む必要があるが、ネットワークスライシングでスマホなど簡易な設備での中継が可能になる。コストを削減できるのはもちろん、映像制作・中継をより柔軟に行えるようになる。

また、スマートファクトリーなどに代表される協調・自律制御には、現状、有線や専用無線が使われているが、ネットワークスライシングで公衆網に置き換えたいというニーズが多いという。

通信事業者各社は、サーバーを端末の近くに分散配置することでデータ処理のレスポンスを速めるMECとネットワークスライシングを一緒に提供することも検討している。

「エンド・ツー・エンドで制御することで低遅延を実現するネットワークスライシングと、超低遅延を実現するMECを組み合わせることにより、遠隔医療やeスポーツなどよりクリティカルな領域にも踏み込んでいけるのではないか」と辻野氏は期待を込める。

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