社内SNSで「危機」を乗り越える――シェアNo.1ベンダーに聞いたBCP・在宅勤務での活用術

東日本大震災ではTwitterをはじめとするソーシャルメディアが活躍したが、それは企業においても同様だった。社内SNSは震災時にどう貢献したのか。また、企業は今後、BCPや在宅勤務などに社内SNSをどう活用していくべきなのか。社内SNS市場で国内第1位のBeat Communicationに聞いた。

「想定外」の危機も社内SNSなら乗り越えられる

このように社内SNSによって普段とあまり変わらずに震災時に仕事を進められた企業は多かったが、他方で災害などの緊急時には“普段”とは異なる行動も多く求められる。BCP(事業継続計画)により、事前にアクションプランを決めておくことは重要だが、すべてを前もって想定しておくことはで不可能だ。「想定外」の事態に適切に対応していかなければならないが、こうした観点でも社内SNSは有効に機能したようである。

日常的なルーティンワークであれば、部署・チーム内のスキルや知識だけで十分対処できるだろう。だが、何かイレギュラーだったり新しい事態に対処しなければならないときは異なる。部署・チームの外にあるスキルや知識をいかに活用できるかが重要になるが、今回の震災はまさしくそのようなケースだった。

社内SNSが崩せる壁は、地理的・時間的な壁の他に、もう1つある。それは組織の壁だ。社内SNSでは部署を越えた情報交換やディスカッションが気軽に行うことができる。実際、組織横断的なコミュニケーションの活性化を主目的に社内SNSが導入されるケースは非常に多く、それが大企業を中心に社内SNSの導入が進んでいる理由となっている。大企業病の典型である「セクショナリズム」を社内SNSで打破しようというわけだ。「部署や支店、あるいは世代ごとにバラバラで、組織全体として力を発揮できていない企業は多い。しかし社内SNSを利用すれば、社員全員を横につなげ、あたかも1つの神経回路のように企業が動けるようになる」(村井氏)。

例えば社内SNSのQ&A機能を利用すれば、このように気軽に他の部署や拠点の人たちの力を借りることができる
例えば社内SNSのQ&A機能を利用すれば、このように気軽に他の部署や拠点の人たちの力を借りることができる

例えば今回の震災では、社内SNSを基盤に震災復興支援に取り組んだ例がかなり見られたそうだ。「当社のユーザーのほとんどは大手企業。そのため、何らかのかたちで大震災の被害を受けた企業が多い。そこで、『どうすれば復興支援に力を貸せるか』と社内SNSのコミュニティ上でプロジェクトを立ち上げ、被害状況の確認や必要な物資などの確認、予想外の事態への対処方法の議論など、すべてを社内SNS上で行った企業が結構あった」。復興支援に必要な情報やスキル、そして意欲を持った人が、社内SNSを介して組織の壁を越えて集結・行動したのだ。

そもそもビジネスとは「想定外」の連続。今回は地震だったが、今後もいろいろな危機は起こる。しかし、社内SNSを活用すれば、様々なスキル・知識を持った社員が横に連携しながら、危機に対処できるようになる。

グループ数百社への導入を検討中の企業も

大震災をきっかけに、企業の社内SNSへの関心は大変高まっている。Beat Communicationでも問い合わせや引き合いは急増しているというが、村井氏によると震災後の特徴としては、グループ数百社、グループ数十社への導入など、案件の大規模化が挙げられるそうだ。

「コミュニケーションは、企業にとって最も重要なインフラの1つ。危機の際、そのバックアップが瞬時に取れないと取り返しのつかないことになる。また、バックアップは普段から使っていなければ、いざというときに機能しない。そのことを今回の震災で痛感した経営層が土台からコミュニケーションインフラの在り方について考え直すなかで、社内SNSの導入を検討しているのだと思う」と村井氏は企業で今起きている動きを説明した。

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