衛星通信に関連する企業・機関やユーザー等が参加するコミュニティであるスペースICT推進フォーラム(SPIF)が、各大学の研究室の展示企画「アカデミアイノベーションミートアップ!(AIM)」と合同で「ワイヤレスジャパン×WTP 2023」に出展している。
スペースICT推進フォーラム(SPIF)パビリオン
東大中尾研のバギーに注目
ブース中央で参加者の足を止めさせていたのは、東京大学大学院工学系研究科の中尾研究室が山梨県富士山科学研究所と行った技術実証に使用したバギーだ。2022年11月に行われた実証では、ローカル5Gシステムと商用の低軌道衛星インターネットアクセスサービスの接続に成功。有事の際はこのバギーに搭載した機器を用いて、衛星を介して通信を行う見通しが立った。
東大・中尾研究室が衛星通信に使用したバギー
また、マイクロウェーブファクトリーは、「NTN実現のためのミリ波高利得レンズアンテナの一検討」と題し、研究成果とレンズアンテナのコンセプトを展示している。直径300mmのポリプロピレン製アンテナが高効率であり、高速・大容量通信が可能なミリ波帯を利用したNTN(Non-Terrestrial Network、非地上系ネットワーク)の地上局アンテナとして運用可能と考えられるということだ。
ポリプロピレン製レンズアンテナ
フォーラムは会員募集中
このほか、名古屋工業大学 ミリ波テラヘルツ波システム研究所によるテラヘルツ帯用アンテナや、情報通信研究機構(NICT)ワイヤレスネットワーク研究センターによる衛星光通信のための地上局テストベッドなど、産学各団体による様々な内容の展示が行われている。
SPIF事務局のNICT ワイヤレスネットワーク研究センター 宇宙通信システム研究室 主任研究員の高橋靖宏氏が「フォーラムは特に法人会員を増やしていきたい」と述べるように、同フォーラムは衛星通信に関心を持つ企業の参画を歓迎している。国の政策に声を届けることのできるフォーラムに参加してみてはいかがだろう。