JTOWERは2023年3月17日、事業説明会を開催した。
2012年の設立以来、同社は通信インフラのシェアリング事業を手掛けている。アンテナや配線、中継装置などの設備を共用化した共用装置を建物内に設置する屋内インフラシェアリングの導入済み物件数は、2022年12月末時点で374件。毎年順調に増加しており、「ショッピングモールやオフィスビル、病院などの大型物件では、インフラシェアリングが一般的になってきているのではないか」と田中敦史社長は語った。
JTOWERの田中敦史社長
324件の約9割は4Gだが、最近の傾向として、更改の時期を迎えた携帯キャリアの4G設備を巻き取り、共用装置に入れ替えるリプレース案件が出始めている。また5Gについては、すでに4G共用装置を設置しているところに5G共用装置を追加するケースと、5G共用装置のみを新たに設置するケースがある。
屋内インフラシェアリングの導入済物件は374件
屋内インフラシェアリング事業のTenancy Ratio(平均参画キャリア数)は2.8で、「多くの建物で3キャリアを利用できる状況」(田中社長)だ。楽天モバイルとの連携も進めており、導入物件のうち30件程度は同社の電波も吹いているという。
屋内インフラシェアリング事業については海外展開も行っており、2017年に現地のIBS(屋内インフラシェアリング・ソリューション)事業者を買収し、ベトナム市場に参入した。商業施設やホテルに共用装置の設置を進めるとともに、既存運営資産の買い取りやベトナム国内の同業事業者のM&Aにより、導入物件数は234件(2022年9月30日時点)となっている。
ベトナムでも屋内インフラシェアリングを展開する
2022年11月には、令和4年度総務省事業「ベトナム社会主義共和国における屋内通信インフラシェアリング実証試験の請負」の請負事業者に採択され、今年3月にKDDIと5Gを活用した実証を行った。インフラシェアリングにより、設備投資費用や運用費用、消費電力をどの程度削減されるかを定量的に明らかにするほか、実導入に向けたビジネスモデルを策定し、ASEAN各国への展開につなげたいという。