NTTは2月20日、100GHzの超広帯域性能を持った超小型な増幅器ICモジュールの実現に世界で初めて成功したと発表した。この成果技術の詳細は2月16日、IEEE Microwave and Wireless Technology Lettersにオンラインで掲載された。
NTTが今回発表した技術と従来技術の比較
通信トラフィックが増加する中、NTTが目指すIOWNの基幹光ネットワークにおいては、将来的に1波長あたり毎秒マルチテラビット(毎秒2テラビット以上)の伝送速度が必要になることが予測されている。このような伝送速度を実現するためには、光送受信器には100GHz級の超広帯域なベースバンド信号を増幅できるベースバンド増幅器ICモジュールが必要となる。すでに実験・計測器分野ではそのニーズが顕在化しつつあり、超広帯域かつ小型な増幅器ICモジュールの要望が高まっているという。
今回、高速性と耐圧に優れる、インジウム・リン系ヘテロ結合バイポーラトランジスタ(InP HBT)により増幅器ICの高性能化およびパッケージ実装技術の高度化を行うことにより、世界で初めて100GHzの超広帯域性能とDCブロック機能集積を両立した超小型な増幅器ICモジュールの実現に成功したと発表した。
なお、DCブロックとは信号に含まれる直流(DC)成分を除去する機能。直流動作電圧の異なるデバイスを接続する際に、デバイスの故障や動作不良を避けるために必須となる。従来のモジュールは前後のデバイスとの接続に際して外付けのDCブロック部品が必要となり、モジュールの小型化とユーザビリティの面で課題があった。
NTTはこの成果を、次世代の超高速光通信や6Gの研究開発を推進する上で重要な役割を担う、最先端の実験・計測器への応用に向けて早期の実用化を目指していくという。また中長期的には、IOWNにおける超高速光送受信器への適用検討を進めていくとしている。