低コストが武器のWeb会議「HP Virtual Rooms」
マルチベンダーの利点が最も分かりやすく表れているのは、ユーザー企業の関心が特に高いビジュアルコミュニケーションの領域である。テレプレゼンスのHaloを頂点にオンプレミス型とクラウド型の両方で複数の選択肢を取り揃えている(図表2)。HPではユーザー企業の要望に応じて提案していくわけだが、導入ハードルが最も低いのが3月から販売開始したVirtual Roomsだ。
図表2 HPのビジュアルコミュニケーションのポートフォリオ |
Virtual Roomsの特徴は、第一にコストである。バーチャル会議室のルーム数やユーザーID数などで課金する多くのWeb会議と異なり、同時接続ユーザー数での課金となっており、最小26ライセンスの場合の年間利用料は1ライセンス当たり2万520円。従業員1000人の企業で201の同時接続ユーザー数が必要なケースを想定すると、1ライセンス当たりの年間利用料は1万3500円で合計271万3500円。「従業員1人当たりにすると、1カ月約226円になる」と新井氏は説明する。あくまで同時接続数に対する課金であり、登録ユーザー数に制限はない。
また、信頼性も新井氏が強調する点だ。HP社内ではすでに10年以上にわたる利用実績があり、そのスケールもHPの社員約35万人のうち約19万人が登録、ライセンス数は3万1000と非常に大規模なもの。「誇張ではなくVirtual Roomsを使わない日はないが、利用できなかったことはない」という。
さらに1ルーム当たり最大1500ユーザーが同時接続でき、大人数での社内研修などにも対応。登録ユーザー1人当たり最大10個まで作れる「ルーム」には、100MBのコンテンツを蓄積でき、会議のたびに資料をアップロードし直す必要もない。
トップベンダー4社を援軍にUC&C市場に挑戦するHPの最大の仮想敵はもちろんシスコだろう。HPはH3C社の買収を昨年完了し、スイッチなどの分野でもシスコに次ぐポジションを築きつつあるが、UC&Cでの存在感も今後次第に高めていくことになりそうだ。