日本ヒューレット・パッカード(HP)がユニファイドコミュニケーション&コラボレーション(UC&C)に本腰で取り組み始めている。1月18日にSaaS型Web会議システム「HP Virtual Rooms」の国内販売を発表、2月7日にはUC&Cソリューションのポートフォリオ強化をアナウンスした。
同社ネットワークソリューション部部長の小谷宏氏は、この背景には企業を取り巻く環境の変化やテクノロジーの進歩があると説明する。リーマン・ショック以降、企業では一段のコスト削減とビジネス環境の変化への一層の迅速な対応が求められるようになった。一方、モバイル技術やビデオ圧縮技術など、UC&C関連の技術もここ数年で大きく進化し、「社会的なニーズと技術の両面で、まさに今、UC&Cが広がるタイミングが来た。以前と比べると、企業はUC&Cにかなり前向きになっている」(小谷氏)という。UC&Cの導入機運の本格的な立ち上がりを捉え、日本HPも精力的に動き始めたわけだ。
テクノロジーコンサルティング統括本部テクノロジーソリューション本部ネットワークソリューション部の小谷宏部長(左)と、同本部教育サービス企画推進部の新井啓之部長 |
この4社のパートナーは本当に最強の組み合わせ
HPのUC&Cソリューションを見るうえで大事なポイントの1つは、その強力なパートナー陣である。HP自身もテレプレゼンスの「HP Halo」、前出のVirtual Roomsの2つのビジュアルコミュニケーション製品をラインナップしているが、さらにUC&Cの代表的ベンダーであるマイクロソフト、アバイア、ポリコム、アルカテル・ルーセントの4社とグローバルな提携関係にある。「特定製品の導入を前提としたプロダクトアウトではなく、お客様の“あるべき姿”に即したソリューションを提供できるのがHPのUC&C」と小谷氏が説明する通り、ユーザー企業のニーズに合わせて、自社+パートナー4社の製品を最適な形で組み合わせられるのだ。「この4社のパートナーは本当に最強の組み合わせ。一緒にやっていこうというモチベーションも高い」と教育サービス企画推進部部長の新井啓之氏も話す。
HPが提供するUC&Cソリューションは、ExchangeやSharePoint、認証基盤なども含んだ包括的なものだが、リアルタイムコミュニケーション分野においては、顧客視点に基づき以下の3つのソリューションを提供する。この3つが2月7日に発表したUC&Cのポートフォリオ強化の具体的中身だ(図表1)。
図表1 HPのUC&Cソリューションの概要 [クリックで拡大] |
最初の「Voice Transformation」はグローバル化の進展に従い増大しているM&Aなどに伴うIPテレフォニーシステムの統合ニーズ等に応えるもの。2番目の「Virtual Workplace」はワークスタイル変革にフォーカスを当てたもので、オフィスワーカーのコスト削減や生産性向上を実現する。3番目の「Communications Enabled Solutions」はビジネスアプリケーションの最適化で、具体的にはIPコンタクトセンターの構築・運用支援が中心となる。
マルチベンダーであることを除けば、提供するソリューションの内容自体に特筆すべき点はないとも言えるが、1つ重要な差別化ポイントとなるのが「グローバル」だ。世界各地に広く展開しているHPゆえ、グローバル規模でのシステム構築・運用支援にワンストップで対応できる。HPの既存顧客はグローバル企業が中心であり、他社と比べた大きなアドバンテージになるという。