Microsoft Lyncで変わるリアルタイムコミュニケーション [最終回]意外に簡単! Lyncで作るカスタムアプリの世界

マイクロソフトの新しいユニファイドコミュニケーション(UC)基盤「Microsoft Lync 2010」を徹底解説する本連載。最終回となる今回は、Lyncを活用したカスタムアプリケーションの開発がテーマだ。Lyncなら、IMやプレゼンスなどの機能を組み込んだビジネスアプリケーションが容易に開発できる。

IM・プレゼンスを組み込んだカスタムアプリが自在に

もう1つ、Lyncの機能を活用したカスタムアプリケーションの例を紹介しよう。今度は、いわゆる「電話メモ」である。不在時に代理応答した電話の要件などを、Lyncの機能を活用して送信、相手のPCのデスクトップに付箋として貼り付けることができる。この電話メモは、LyncのIM機能を利用して作ったアプリケーションだ。

Lync連携 電話メモ
相手のデスクトップに要件を書いた付箋を貼り付ける「電話メモ」アプリ。LyncのIM機能を利用して作られている

このほか、Lyncを活用したカスタムアプリケーションのアイデアとしては、座席表や情報共有サイト、ワークフローシステムへの組み込みなどもすぐに思い浮かぶ。Lyncの機能を他のアプリケーションに組み込めば、「この技術資料のこの部分について、著者に詳しく教えてほしいのだが……」「この稟議書について、ちょっと担当者に聞きたいことがあるのだが……」など、コミュニケーションニーズの起点となったアプリケーション上で同時にプレゼンスが確認でき、かつ、そのアプリケーション上からすぐに最適な手段で連絡を取れるようになる。

Lyncクライアントの機能拡張も簡単!

ここまでLyncの機能を組み込んだカスタムアプリケーションについて説明してきたが、その反対に外部アプリケーションとの連携によって、Lyncクライアントの機能拡張を図ることもできる。

例えば以下の例では、Lyncクライアントに翻訳機能を実装している。これもLyncクライアントの機能拡張のサンプルとして、日本マイクロソフトが開発したものだ。

Lync 翻訳
Lyncクライアントのウィンドウを拡張し、右ウィンドウに翻訳機能を組み込んだ例

このサンプルではLyncクライアントのウィンドウを拡張。追加した右側のウィンドウに、Webアプリケーションとして提供されている翻訳ツールの機能をネットワーク経由で組み込んでいる。左右のウィンドウ間で情報が自動でやりとりされるようになっており、右ウィンドウに日本語で文章を書くと、自動で英語に翻訳されて左側のチャットウィンドウにインプットされる。また、チャット相手から英語でコメントが来ると、右ウィンドウに引き渡されて、日本語に翻訳されて表示される仕組みだ。

この機能拡張を実現するためにLync側で行った変更というと、レジストリにコードを1行加えたのみ。たったそれだけの作業で、外部アプリケーションを活用した機能拡張ができてしまうのだ。

Lyncクライアントの連絡先リストの拡張も簡単に行える。例えばデフォルトでは「連絡先」と「組織」の2つのタブが用意されているが、オリジナルのタブを追加することなどが可能になっている。

以上見てきたように、Lyncでは他のアプリケーションとのマッシュアップが非常に容易に行えるようになっている。「いつでも、どこからでも、だれとでもつながる」というのがLyncのキャッチフレーズであるが、そうしたコミュニケーション環境をさまざまなアプリケーション上で簡単に実現できることの意義は大きい。コミュニケーション効率は格段に向上するし、従業員同士のコラボレーションが従来以上に活発になることも期待できるはずだ。

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