ドコモの法人向けスマホ/タブレット戦略 ~ 中堅・中小をターゲットにクラウド連携を強化

Android端末の企業導入に力を入れるNTTドコモ。クラウド型のパッケージソリューションを充実させることで、中堅・中小企業に対しても積極的にアピールしていく計画だ。

提携で一気にスマートフォン向け業務アプリを拡充

「特に中堅・中小企業への導入に弾みを付けるためには、パッケージ型のソリューションをいかに充実させるかがポイントになる」と、法人事業部法人ビジネス戦略部長兼第三法人営業部長の小関純氏は言う。

その第1弾として今年1月、スマートフォン向けクラウド型グループウェアサービスを4月から提供開始すると発表した。NTTデータイントラマートと提携し、外出先でもスマートフォンなどからメールやスケジューラ、営業日報などの社内情報を共有できるようになる。

図表 クラウド型グループウェアサービスの概要
図表 クラウド型グループウェアサービスの概要

Webシステム構築フレームワークや業務アプリケーションなどの開発・販売を行うイントラマートは、大企業を中心に約2200社の顧客を持つ。また、アプリケーションベンダーやソリューションベンダーなどパートナー企業は約200社に上る。従来、イントラマートがPC向けに提供してきたアプリケーションを活用することで、ドコモは一気にスマートフォン向けの業務アプリの充実を図ることを目指す。一方、イントラマートにとっても、これまで未開拓だった中堅・中小企業やモバイル分野へと自社製品を展開することで事業拡大が見込める。

ドコモの法人営業は、回線品質に加えて、全国規模のアカウント営業を強みとする。中堅・中小法人市場ではモバイル導入をめぐり熾烈な価格競争が繰り広げられてきたが、「単に端末を安く売るだけのビジネスモデルには取り組んでこなかった」という。

企業のモバイル導入も当初はコスト削減が中心だったが、それは行き着くところまで行っており、今度は経営基盤の強化、収益向上に貢献するソリューションへの投資へとシフトしていく。「お客様の経営課題を聞いたうえで、何が役に立つかマッチングを図ることがソリューションを提供する際には非常に重要」と小関氏は話す。

業種別のソリューションパッケージとセットで、スマートフォン/タブレット端末を提供することができれば、中堅・中小企業にとっては効果が見えやすく、導入も容易になる。その際、効果が実証された事例を揃えるために、より具体的な提案ができるような取り組みも行っている。

また、中堅・中小企業はITやシステムといった話になると抵抗を感じることが少なくないといわれる。その点、モバイルやワイヤレスは身近にある製品だけに、「スマートフォンとクラウドの組み合わせで、いよいよ簡単に提供できる条件が整ってきた」と小関氏は意気込む。

月刊テレコミュニケーション2011年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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