ローカル5Gサミット2022が開催 総務省、南紀白浜空港らが講演

「ローカル5Gサミット 2022」が11月17日、東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催された。導入コストが低廉化し、いよいよ普及期に入ったローカル5Gについて、最新の知見を持つ講師陣が登壇した。総務省の入江晃史氏による基調講演と、南紀白浜エアポートの池田直隆氏による特別講演をレポートする。

「ローカル5Gサミット 2022」が11月17日、東京・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催された。導入コストが低廉化し、いよいよ普及期に入ったローカル5Gについて、最新の知見を持つ講師陣が登壇した。

総務省 入江氏「ローカル5Gを何としてでも普及させたい」

今年のローカル5Gサミットは、総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 企画官の入江晃史氏による基調講演「ローカル5Gの柔軟化に向けて」からスタートした。

総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 企画官の入江晃史氏(リモート登壇)

総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 企画官の入江晃史氏(リモート登壇)

入江氏はまず、デジタル田園都市国家インフラ整備計画の中に、ローカル5Gの整備が位置づけられていることを紹介。2019年12月に制度化して以降、数々の実証事業が進められ、2020年12年には周波数が拡大するなどのここまでの取り組みを振り返り、ローカル5Gの整備は「開発と制度整備の二本柱」と述べた。

携帯電話事業者の全国5Gと比較したローカル5Gの特徴としては、整備が遅れている地域に先行して構築できること、用途に応じて必要な性能を柔軟に設定できること、他の場所の通信障害や災害等の影響を受けづらいことなどが挙げられる。また、Wi-Fiと比較して安定的に利用できることも大きな特徴の1つだとした。

入江氏によれば、現在、ローカル5Gの申請者および免許人は121者に上る(うち本免許を取得したのは117者)。様々な地域、業態の団体が名を連ねるが、ローカル5Gは「みんなで仲良く」利用すべき周波数帯だと入江氏は強調した。

近接地で同じ周波数帯のローカル5Gが運用されることもあり得る。また、4.5GHz帯(Sub6)では公共業務用無線局、28GHz帯(ミリ波)では衛星通信システムと電波を共用し、双方とも携帯電話事業者の全国5Gと隣接している。ローカル5Gの免許申請と運用には、共用する相手との事前調整が欠かせない。

令和4年度は、「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に11件が採択され、全国各地で産官学連携による実証事業が行われている。分野も農業、漁業といった第一次産業から、工場・発電所、そして文化・スポーツなど多岐にわたる。入江氏はそれぞれの事業を紹介しながら、こういった取り組みによって「ローカル5Gのニーズを広げたい」と話した。

制度整備については、情報通信審議会のローカル5G検討作業班で議論されている。今年10月21日の第19回会合では、他者土地でのローカル5Gの運用を可能にする「共同利用」の概念が導入され、広域的利用に向けて一歩踏み出した(参考記事:「広域利用」に代わり「共同利用」で制度化へ 総務省ローカル5G検討作業班会合)。

ローカル5Gにおける他社土地利用と自己土地利用の干渉調整方法の明確化

ローカル5Gにおける他社土地利用と自己土地利用の干渉調整方法の明確化

また、免許手続き・定期検査の簡素化、海上への利用拡大も議論された。取りまとめ報告案は12月12日までパブリックコメントを募集しているが、これで「作業班が終わるわけではない」という。入江氏は、「制度は不断の見直しを行う。ローカル5Gを何としてでも普及させたい。みなさんと連携してやっていく」と参加者に向けて宣言した。

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