「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《4-2》グループ会社にもSNSを!~Nextiのグループ展開~――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

4.2.9 グループ展開における今後の課題

このように一見順調に見えるNextiのグループ展開ですが、課題もいくつか見えてきています。

「こころざし」の啓発
ひとつは、Nextiの参加者が拡大していくにつれて、Nextiの元々の主旨である「こころざし」を見失ってしまうことへの懸念です。もちろん、各社で置かれている状況が異なるため、Nextiに求めるものも違っており、強制はできません。しかし、「こころざし」はNextiの存在意義そのものであり、全てのユーザーが同意しないまでも、知っていてほしいものです。これについては、各社の窓口の協力の下、「こころざし」を広く啓発していくしかありません。

ボランティア運営の限界
Nextiは、ずっとこれまでボランティアで運営してきました。しかし、グループ会社が参加することで利用者数が増え、またNextiがこれまで以上に業務でも使用され、存在意義を高めていくにつれ、ボランティア運営にも限界が近づいています。

もちろん、ボランティアには良い面もあります。端的なのは、この仕組みが「社員」によって立ち上げられ、運営されているという事実そのものです。会社からトップダウンで与えられたものではなく、使用するのも止めるのも、社員自身の意思次第。この手軽さが、Nextiに人を引き付け、自然で活発な議論を可能にしています。

ボランティアと会社組織とのあり方については、今後も試行錯誤を繰り返すことでしょう。両方のメリットを活かせるハイブリッド型の組織が、この試行錯誤の中から生まれてくる、そんな気がしています。

利用範囲の拡大
現在のところ、Nextiの利用者はNTTデータグループ社員に限定しています。しかし、グループ展開して数ヶ月経った今、早くも協力会社の人をNextiに入れたいという要望が挙がってきています。

Nextiをどこまで拡大していくのか。今の時点では分かりません。mixiやMySpacesなどのインターネット上の誰でも入れるSNSではない以上、NTTデータグループに関わる人であることは間違いないでしょう。「ひろネク」の中では、NextiをNTTデータグループのOB/OGをはじめ関係する協力会社、顧客、これからNTTデータグループに入社する学生など、NTTデータグループに関わる全ての人とつながるSNSに育てていきたい。そうした思いを持っています(図4-8参照)。

図4-8 ステアリングコミッティに提示したNTTデータグループの将来像 [クリックで拡大]
図4-8 ステアリングコミッティに提示したNTTデータグループの将来像

今後、ますます世の中の変化は激しくなり、NTTデータグループはさらにその総力を持って、対応していくことになります。そのために必要となる人と人の結びつき。そこから生まれる協力する心。それらが、Nextiを含む様々な取り組みでどこまで育つのか。それにより、NTTデータグループの未来が決まると言っても過言ではないでしょう。

(連載目次はこちら

NTTデータ流ソーシャルテクノロジーNTTデータ流 ソーシャルテクノロジー
~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~

■Nexti運営メンバー有志(著)
■新書版 132ページ
■定価:1,050円(税込)(本体:1,000円)
■ISBN:978-4-89797-843-7

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本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

金子 崇之(かねこ・たかゆき)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。技術支援部署に所属し、オープンソースについての検証や技術支援に従事。現在は基盤系ビジネスの拡大に携わる。
NTTデータ先端技術への出向をきっかけとして、NTTデータの社内改革プログラム「X-NEXT」でNextiのグループ展開を提案。同活動のオーナーとして活動している。

吉田 英敬(よしだ・ひでたか)
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1997年、NTTデータ通信入社。システム科学研究所において、社会と生活の情報化に関する調査研究を経て、総務省地域SNS実証実験等のプロジェクトに参画。
現部署に異動した後は、営業として自治体の情報化に関する企画提案に携わる。Nextiの運用・問合せ対応メンバーのひとりとして活動する。

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