4.2.9 グループ展開における今後の課題
このように一見順調に見えるNextiのグループ展開ですが、課題もいくつか見えてきています。
「こころざし」の啓発
ひとつは、Nextiの参加者が拡大していくにつれて、Nextiの元々の主旨である「こころざし」を見失ってしまうことへの懸念です。もちろん、各社で置かれている状況が異なるため、Nextiに求めるものも違っており、強制はできません。しかし、「こころざし」はNextiの存在意義そのものであり、全てのユーザーが同意しないまでも、知っていてほしいものです。これについては、各社の窓口の協力の下、「こころざし」を広く啓発していくしかありません。
ボランティア運営の限界
Nextiは、ずっとこれまでボランティアで運営してきました。しかし、グループ会社が参加することで利用者数が増え、またNextiがこれまで以上に業務でも使用され、存在意義を高めていくにつれ、ボランティア運営にも限界が近づいています。
もちろん、ボランティアには良い面もあります。端的なのは、この仕組みが「社員」によって立ち上げられ、運営されているという事実そのものです。会社からトップダウンで与えられたものではなく、使用するのも止めるのも、社員自身の意思次第。この手軽さが、Nextiに人を引き付け、自然で活発な議論を可能にしています。
ボランティアと会社組織とのあり方については、今後も試行錯誤を繰り返すことでしょう。両方のメリットを活かせるハイブリッド型の組織が、この試行錯誤の中から生まれてくる、そんな気がしています。
利用範囲の拡大
現在のところ、Nextiの利用者はNTTデータグループ社員に限定しています。しかし、グループ展開して数ヶ月経った今、早くも協力会社の人をNextiに入れたいという要望が挙がってきています。
Nextiをどこまで拡大していくのか。今の時点では分かりません。mixiやMySpacesなどのインターネット上の誰でも入れるSNSではない以上、NTTデータグループに関わる人であることは間違いないでしょう。「ひろネク」の中では、NextiをNTTデータグループのOB/OGをはじめ関係する協力会社、顧客、これからNTTデータグループに入社する学生など、NTTデータグループに関わる全ての人とつながるSNSに育てていきたい。そうした思いを持っています(図4-8参照)。
図4-8 ステアリングコミッティに提示したNTTデータグループの将来像 [クリックで拡大] |
今後、ますます世の中の変化は激しくなり、NTTデータグループはさらにその総力を持って、対応していくことになります。そのために必要となる人と人の結びつき。そこから生まれる協力する心。それらが、Nextiを含む様々な取り組みでどこまで育つのか。それにより、NTTデータグループの未来が決まると言っても過言ではないでしょう。
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