富士通がソフトウェアPBXの理由 オンプレミスとハイブリットワークへのニーズに応える

富士通が汎用サーバー上で動く「ソフトウェアPBX」を市場投入した。クラウド化が進むなかでも根強いオンプレミスへのニーズを捉えるとともに、ハイブリッドワーク時代に対応した新たな価値創出を目指す。

富士通が国内の大手PBXベンダーとして初めて、ハードウェア一体型ではない、汎用サーバーにインストールして動かすソフトウェアタイプのIP PBXを本格投入した。9月5日に提供開始した「Fujitsu テレフォニーソリューション ソフトウェアPBX」(以下、ソフトウェアPBX)だ。

「クラウドPBXへガッツリ切り替わっていくだろうと考えたときもあったが、やはり全部のお客様が『月額サービスがいい』というわけではなかった」

ソフトウェアPBXを発売した背景を、富士通 インフラストラクチャシステム事業本部 エンタプライズネットワーク事業部 テレフォニー企画部 部長の安藤真菜氏はこう語る。

富士通 インフラストラクチャシステム事業本部 エンタプライズネットワーク事業部 テレフォニー企画部 部長 安藤真菜氏

富士通 インフラストラクチャシステム事業本部 エンタプライズネットワーク事業部
テレフォニー企画部 部長 安藤真菜氏

ソフトウェアPBXは必然

他の業務システムと同様、企業音声システムについても近年、クラウドサービス化がトレンドになっていた。「所有から利用へ」という流れだけが理由ではない。テレワーク中でオフィス外にいる従業員にも、内線機能を容易に提供できる点がクラウドのメリットだ。働き方改革ブームのなか、クラウドPBXのニーズは拡大し、コロナで一気に加速。富士通もクラウドPBXサービス「FUJITSU Networkクラウドトーク EX」を約2年半前から提供している。

ただ、あらゆる企業がクラウドPBXを望むわけではない。富士通の場合、「小さい拠点で使いたい、既存PBXのアドオンという形で入れたいというお客様が多かった」と安藤氏は話す。「設備を持っておきたいというニーズは根強い。特にデータセンターに基幹システムなどを持っている企業はそうだ」。長く使い続けるシステムであれば、月額利用よりもオンプレミスのほうがコスト的にも有利になる。

とはいえ、ハイブリッドワーク時代を迎えた今、オンプレミスのPBXにも変化が求められている。「できるだけ多方面にやるには、ソフトウェアPBXが必要であり必然」と富士通は考えたという。

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